8月10日(現地時間)、米ラスベガス発アトランタ行きデルタ航空591便の機内で、正規のWi-Fiを装った偽ネットワーク「Delta WiFi Fast」が出現した。客室乗務員は機内Wi-Fiを30分間停止し、デルタ航空と連邦当局が調査に入った。
手口はセキュリティ業界で「イーヴィル・ツイン(邪悪な双子)」と呼ばれる。正規と同じ名前の偽Wi-Fiを、より強い信号で飛ばして接続を誘導し、接続者の情報を盗み取る方式だ。
乗客199人と乗務員6人は無事で、航空機の運航システムにも影響はなかった。事件は、世界最大のハッカー会議「DEF CON」が終わった直後、参加者が乗った便で発生した。
カフェや空港、ホテルの無料Wi-Fiも同じ危険にさらされている。見知らぬWi-Fiでの金融取引は避け、接続時にはVPNを使い、自動接続をオフにしておくことが基本的な防御策とされる。

デルタ航空は10日(現地時間)、ラスベガスからアトランタへ向かっていた591便の機内で、正体不明の偽Wi-Fiが現れたと明らかにした。操縦士は地上管制に対し、ある乗客が機内の正規Wi-Fiを装った詐欺ネットワークを作成したと報告した。デルタ航空は連邦捜査機関および航空規制当局とともに事実関係を調査していると説明した。
◆ 偽Wi-Fi「イーヴィル・ツイン」
偽Wi-Fiの手口は、セキュリティ業界で「イーヴィル・ツイン」、つまり「邪悪な双子」攻撃と呼ばれる。正規のWi-Fiと同じ名前の偽アクセスポイントを作り、信号強度を本物より強くして飛ばす方式だ。スマートフォンやノートPCは通常、より強い信号側へ自動的に接続するため、利用者は偽物と気づかずに接続してしまう。
いったん偽のネットワークにつながると、やり取りされる情報は攻撃者の手を通る。IDやパスワード、カード番号などの機微情報が流出する可能性がある。機内に現れた偽ネットワーク名は「Delta WiFi Fast」で、正規の機内Wi-Fiと誤認させるよう巧妙に名付けられていた。
問題は、偽Wi-Fi攻撃に特別な技術が必要ない点だ。セキュリティ点検用として市販されている機器やソフトウェアが悪用されれば、そのまま攻撃ツールになる。専門家たちが公共の場のWi-Fiに繰り返し警戒を呼びかける理由だ。
本物のWi-Fi接続を妨害する信号が同時に使われると、攻撃はさらに凶悪になる。正規のネットワークが使えない間、乗客が唯一つながる偽のネットワークへ誘導される形だ。デルタの件でも、正規Wi-Fiが妨害を受けた可能性を示す状況が操縦士のメッセージに記されていた。
◆ Wi-Fiを停止した30分
機内の状況は迅速に収束した。客室乗務員が偽ネットワークに気づいた後、操縦士らは地上へ2回メッセージを送り、正規の機内Wi-Fiを約30分間停止した。偽の信号が本物を押しのけて乗客をだます状況を遮断するためだった。
デルタ航空は、航空機の安全にはまったく問題がなく、運航システムにも影響はなかったと強調した。機内Wi-Fi自体が侵害されたわけでもないと線を引いた。機内には乗客199人と乗務員6人が搭乗しており、管制塔に緊急事態は宣言されなかった。旅客機は予定どおりアトランタに到着した。
当局の調査は初期段階にある。米連邦航空局は、この件を把握して調べているとしつつ、機内Wi-Fiが侵害されても航空機の飛行安全システムには影響しないと明らかにした。誰が、なぜ偽ネットワークを作ったのか、実際に情報流出があったのかはまだ確認されていない。
◆ 無料Wi-Fiの前で守るべきこと

事件直前のラスベガスでは、世界最大のハッカー会議「DEF CON 34」が開かれており、当該便には参加者の一部が搭乗していた。ただしデルタ航空は、誰が偽ネットワークを作ったのか特定できていないとし、参加者の搭乗が直ちに犯行を意味するわけではないと説明した。
機内という舞台が特別なだけで、危険そのものは日常にあふれている。カフェや空港、ホテル、地下鉄の無料Wi-Fiもイーヴィル・ツイン攻撃にそのままさらされている。誰でも、それらしい名前を付けるだけで偽のネットワークを立ち上げることができるからだ。韓国でも、地下鉄や繁華街の公衆Wi-Fiを装った偽アクセスポイントの危険は何度も指摘されてきた。
防御法は難しくない。見知らぬ公共Wi-Fiでは、銀行取引やカード決済のような機微な作業を避けるのが第一だ。どうしても接続する必要がある場合は、通信を暗号化する仮想プライベートネットワーク(VPN)を有効にし、アドレスバーに鍵マークがある安全な接続(https)か確認したほうがよい。スマートフォンのWi-Fi自動接続機能をオフにしておけば、気づかないうちに偽ネットワークにつながる事態を減らせる。
デルタ591便の事件は、一見まともに見えるWi-Fiが常に安全とは限らないことを思い起こさせた。接続が当たり前になるほど、無料の電波に対して一度立ち止まって疑う習慣こそが最良の盾だという指摘が続いている。