中東発のナフサ供給難で、袋不足の長期化が続いている。
ソウル・江西区は、廃資源を袋に交換する生活密着型の解決策を打ち出した。

いま何が起きているのか
ソウル・江西区が、透明ペットボトルを一般廃棄物指定ごみ袋と交換する事業を始めた。従来の紙パック・使用済み電池の交換事業に、透明ペットボトルを新たな対象品目として加えたものだ。
住民は、使い終えたペットボトルを集め、居住地近くの洞住民センターへ持参すればよい。ペットボトル1kgは、食品廃棄物用指定ごみ袋(3L)1枚、または一般指定ごみ袋(10L)2枚に交換できる。1人が1日に受け取れる量は最大4kgに制限した。
交換の対象となるには、分別排出の基準を守らなければならない。中身を空にし、ラベルを外し、圧縮したうえで、ふたを閉める手順だ。
異物のない状態で回収された透明ペットボトルは、新しいペットボトルや衣類・バッグ向けの再生原料として再び使われる。
従来の紙パック2kgはトイレットペーパー1ロールに、使用済み電池0.5kgは新しい電池2本に交換できる。いずれの品目も、ごみ袋との交換が可能だ。用意された景品がなくなれば、事業は早期終了となる。
意味の分析
この事業が注目されるのは、景品が指定ごみ袋である点だ。中東戦争の長期化でナフサの輸入が滞り、指定ごみ袋は今年に入って慢性的な品薄品目となっている。
スーパーやコンビニで袋が手に入らず、買い物を断念することが珍しくなくなった状況で、ペットボトル1kgが10L袋2枚に変わる仕組みは、単なる環境キャンペーン以上の意味を持つ。
江西区はこの点に着目した。袋が貴重になったことで住民の最も日常的な不便となった時期に、廃資源を袋に換算して返すのだ。
ペットボトルのリサイクル率を高めるという環境行政の課題と、袋の供給難という生活上の懸案が、ひとつの事業の中で結びつく。分別排出の基準を守ったペットボトルだけを受け取る条件は、リサイクル価値の高い資源を安定的に確保しようとする意図と読める。
解決策
袋不足が短期間で解消される見通しが立たない以上、このような資源循環型の報奨制度は、期間限定のキャンペーンにとどまらず、日常の仕組みとして定着する必要があるとの指摘だ。
景品がなくなれば事業が止まるという点は、最大の限界である。袋の確保分を安定的に運営できなければ、参加意欲はすぐに失われる。
初回訪問で手ぶらで帰った住民が、再びペットボトルを集めなくなる可能性を考えると、在庫運用そのものが政策の成否を左右する変数になる。自治区レベルで袋の数量を四半期ごとにあらかじめ確保し、洞ごとの配分状況をリアルタイムで公開する仕組みが必要だという声がある。
回収窓口の狭さも解決すべき課題だ。洞住民センターは平日昼間にしか開いていない。共働き世帯と1人世帯が多い江西区の人口構成を考えると、この時間帯に訪問できる住民は限られる。
移動が不自由な高齢者にとっても、洞住民センターまでの距離は参入障壁になる。共同住宅の管理事務所、商業施設が集まる地域、地下鉄駅などの拠点に無人回収箱を設置したり、一定重量以上を集めた世帯に限って訪問回収を併用したりする方法が代案として挙げられる。
長期的には、交換品目と報奨構造を多層化する方向も検討できる。ペットボトル以外にも、廃ビニール、缶、ガラスびんなど再資源化の価値が確認された素材へ段階的に対象を広げれば、住民の分別排出の習慣そのものが変わる。
景品もごみ袋一種類に限定せず、地域通貨や公共サービス利用券などの選択肢を用意すれば、袋の在庫負担を分散できる。
袋を作る原料が不足している時期に、廃プラスチックが袋として戻る循環の輪をいかに厚くできるかが、この事業の持続性を左右する分岐点になる見通しだ。