秋夕連休の海外旅行を計画しているなら、手荷物にはまず虫よけスプレーを入れておくのがよさそうだ。人気旅行先の東南アジアと南アジアで、蚊が媒介する感染症デング熱が今年猛威を振るっている。
感染症情報メディアのOutbreak News Todayが最近集計した各国の防疫当局の資料によると、東南アジア・南アジアの主要国でデング熱患者が昨年より目立って増えた。カンボジアは8月初めまでに5万4697人が感染し、昨年同時期(3万200人)より81%増加した。マレーシアは4万2848人で35%増え、死者も19人から34人へ79%急増した。ベトナムは7月までに7万3828人が感染し、昨年の1.3倍に増えた。
南アジアも状況は同じだ。スリランカでは今年9万5035人が感染し72人が死亡し、バングラデシュでは最近1日だけで約1100人の新規患者が出た。アフガニスタンでも7月の疑い患者が前月より85%増えた。いずれも韓国人旅行客が好んで訪れる地域だ。
◆ デング熱とは何か
デング熱は、デングウイルスに感染した蚊に刺されてかかる急性熱性疾患だ。人から人へ直接うつるのではなく、ウイルスを持ったヒトスジシマカやネッタイシマカが人を刺すことで広がる。これらの蚊は夜よりも早朝や日没時など、主に昼間に活動する点がマラリアを媒介する蚊と異なる。
刺されてから4~7日たつと、突然の高熱や激しい頭痛、目の奥の痛み、筋肉・関節痛、発疹などが現れる。多くは特別な治療をしなくても1~2週間で回復する。しかし、まれに出血や血圧低下を伴う重症デング熱へ悪化すると生命が危険になることがある。特に、一度かかった人が別の型のウイルスに再感染すると重症化するリスクが高まる。
問題は、これといった武器がないことだ。国内で商用化されたデング熱ワクチンはなく、ウイルスを直接除去する専用治療薬もない。発熱を抑え、水分を補う対症療法しかできない。結局、蚊に刺されないことが最も確実な予防策となる。
◆ 虫よけスプレーは成分を見て選ぶ
予防の核心は蚊に刺されないことだが、そこにもコツがある。一般には長袖を着て虫よけを塗ると言われるが、実際にどの虫よけをどれくらいの頻度で塗ればよいのかはあまり知られていない。
虫よけは成分によって持続時間が異なる。旅行医学情報を総合すると、ピカリジン20%製品は8~10時間、DEET20~30%製品は5~6時間、植物由来のレモンユーカリ油は4~6時間ほど効果が続く。ホテルの売店で売られているDEET7%程度の低濃度製品は、デング熱流行地域では持続時間が短く不十分だ。旅行期間と活動時間を考えて濃度を選ぶ必要がある。
衣服には別の方法を使う。皮膚用虫よけとは違い、「ペルメトリン」は衣服に吹きかける殺虫成分で、蚊が衣服に触れると追い払うだけでなく殺す。旅行前に衣服へあらかじめ処理して乾かしておけば、洗濯6回分ほどまで効果が持続する。袖口や裾、特にデング熱の蚊が好んで刺す足首部分を意識して処理するとよい。
塗る順番もある。日焼け止めと虫よけを併用する場合は、まず日焼け止めを塗って15~20分ほど吸収させ、その後に虫よけを重ねるべきだ。両成分が一つになった製品は推奨されない。日焼け止めは2時間ごとに塗り直す必要があるが、虫よけはそうではないため、重ねて使うと虫よけ成分を過剰に塗ってしまうからだ。
妊婦と子どもはさらに注意が必要だ。妊婦はジカ熱やマラリアのリスクのほうが大きいため、使い方を守るなら虫よけを使うほうがよい。生後2か月未満の乳児には化学虫よけの代わりに目の細かい蚊帳を使い、子どもに塗る際は大人がいったん手に取り、子どもの肌へ塗ってやる。腕輪型製品や超音波撃退器、シトロネラのろうそくなどは、現場試験で効果が証明されていない。
妊婦と子どもはさらに注意が必要だ。
◆ 旅行先で守るべき予防3原則
防疫当局が勧める予防法は難しくない。▲昼間でも長袖と長ズボンで手足の露出を減らす。明るい色の服は蚊を引き寄せにくい。▲露出した皮膚と衣服に虫よけを塗る。成分と使用法を確認し、時間間隔に合わせて塗り直してこそ効果が維持される。▲網戸とエアコンを備えた宿を選び、就寝時は蚊帳を活用する。
屋外活動では、蚊が卵を産むような溜まり水の近くを避けるのがよい。水たまりや植木鉢の受け皿、捨てられた容器にたまった水が蚊の繁殖地になる。蚊の活動が活発な早朝や日没時には、屋外の予定を減らすほうが安全だ。
帰国後の管理も重要だ。デング熱は潜伏期間があるため、旅行中ではなく帰国後に症状が出る場合が多い。旅行から戻って2週間以内に突然熱が出たら、風邪だと自己判断せず病院を受診し、海外渡航歴を伝えなければならない。診断が早いほど重症化のリスクを減らせる。
浮き立つ連休ほど健康は後回しになりがちだ。荷造りの際に虫よけと長袖を一緒に入れ、帰国後も数日間体調を観察するだけでも、楽しい旅行の後味を守ることができる。
