電気自動車税額控除が打ち切られた米国、現代自動車・起亜のハイブリッドが解決策だった

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By Global Team

4月の販売はわずかに減少したものの、HEV販売は過去最高を記録

関税と高金利に揺れる米国車市場で、韓国車の「ツートラック」戦略が活路を開いた

トヨタ独占を崩したK-ハイブリッド、次の課題は価格と充電だ

[この記事の核心ポイント]

▶ 現代自動車・起亜の4月の米国販売は前年同期比で2~3%減少したが、ハイブリッドは過去最高を記録

▶ 販売減少は昨年の関税導入直前の先行購入によるベース効果で、実質的には健闘した結果

▶ ソナタHEVは171%、スポーテージHEVは112%、EV9は481%など、環境対応ラインアップが実績を牽引

▶ 米国の電気自動車税額控除廃止と高金利環境の中で、ハイブリッドが現実的な代替案として浮上

▶ 現代自動車グループは2028年までに北米でのハイブリッド販売を3倍に増やすツートラック戦略を推進

▶ 関税要因と充電インフラの限界が今後解くべき課題

現代自動車 アイオニック5
現代自動車 アイオニック5

米国の自動車市場が揺れている。関税は上がり、電気自動車の補助金は減った。金利が下がる気配もない。こうした環境の中で、現代自動車と起亜は別の答えを示した。

現代自動車と起亜は先月、米国でそれぞれ8万157台、7万2703台を販売した。1日(現地時間)に両社の米国法人が発表した数値だ。前年同月比ではそれぞれ2%、3%の減少となった。だが同じ資料を詳しく見ると、まったく異なる姿が浮かび上がる。ハイブリッド販売が過去最高を記録したのだ。

ソナタHEVは1年前より171%多く売れた。エラントラHEVは55%、サンタフェHEVは3%増加した。

起亜側も同様だ。スポーテージHEVは112%、ソレントHEVは34%増加した。ハイブリッド全体の販売台数は現代自動車が52%、起亜が97%伸びた。電気自動車も堅調だ。起亜EV9は481%急増し、EV6は11%増えた。現代自動車アイオニック5も6%成長した。

全体販売は減ったのに、環境対応車は爆発的に増えた。この逆説こそが、米国市場の現在地だ。

販売減少は本当の減少ではない理由

総量が減った背景から整理する必要がある。昨年同月の販売があまりにも大きかった。米政府による自動車関税の賦課直前に、消費者が値上がりを懸念して購入を前倒ししたからだ。いわゆる先行購入である。比較基準が異常に高かったわけだ。

ベース効果を差し引けば、景色は変わる。現代自動車の1~4月累計販売は28万5545台で、前年同期比でわずかに増加した。起亜は27万9718台を販売し、同期間で2%超増の過去最高実績を記録した。単月の数字だけを見ると不振に見えるが、累計ベースでは成長軌道を維持している。

比較対象も見るべきだ。日本の競合各社の1四半期の米国販売は、トヨタが0.1%減、ホンダが4.2%減、スバルが15%減、マツダが14.4%減だった。同じ環境で、現代自動車・起亜はグループ合算で2.6%成長した。関税と高金利という同じ逆風の中で、韓国車だけが市場シェアを押し上げた。

ランディ・パーカー現代自動車北米法人CEOは発表資料で、「購買力への圧力と経済的不確実性で業界が厳しい状況にあるにもかかわらず、米国自動車市場は堅い回復力を示している」と診断した。回復力という言葉は、市場全体より韓国車にこそ当てはまる。

税額控除が途切れた場所を、ハイブリッドが埋めた

核心は動力源の選択だ。米国の電気自動車市場は昨年下半期から急速に冷え込んでいる。トランプ政権が「BBB(Big Beautiful Bill)」法案に基づき、最大7500ドルの連邦EV税額控除を昨年9月30日付で早期終了させ、充電インフラの負担を嫌う消費者が離れた。第1四半期の米国全体のEV販売は21万6462台で、前年同期比27%減と急減した。

消費者の計算は変わった。7500ドルの恩恵が消えたEVを無理に買う代わりに、燃費が良く、なじみのあるハイブリッドへと移ったのだ。充電スタンドを探し回る必要がなく、価格負担も少ない。保険料と車両価格が同時に上がる環境で、最も合理的な選択肢として浮上した。

現代自動車・起亜はこの流れを先読みしていた。ソナタ、エラントラ、サンタフェ、ツーソン、スポーテージ、ソレント、テルライドまで、主力モデルのほぼすべてにハイブリッド版を用意していた。EV低迷期にも、環境対応需要が消えたのではなく形を変えただけだという点に着目した布石だった。その結果は数字として返ってきた。

電動化モデルの比率にも意味のある変化がある。EVとハイブリッドを合わせた環境対応車が、現代自動車の米国販売に占める比率は3分の1に達した。1年前には想像しにくかった水準だ。

トヨタ独占の時代を終わらせる

ハイブリッド市場の絶対強者は長らくトヨタだった。プリウスで市場を切り開き、カムリやRAV4ハイブリッドで市場を固めた。他社は追いつくことすら容易ではなかった。その構図が揺らいでいる。

現代自動車グループは、グローバルのハイブリッド累計販売でトヨタに次ぐ世界2位の座を固めた。単に追いついたというレベルではない。米国市場ではモデルごとの競争力でも認められ始めている。

米国の権威誌USニュース&ワールド・レポートの「2026年 最優秀ハイブリッド・電気自動車アワード」で、現代自動車グループは19部門中7部門を獲得した。世界の完成車メーカーで最多受賞だ。

ツーソン ハイブリッド
ツーソン ハイブリッド

ツーソンハイブリッドは「最優秀ミドルサイズ・ハイブリッドSUV」を3年連続で受賞した。1.6ガソリンターボエンジンと47.7kWの電気モーターを組み合わせた231馬力の出力に加え、燃費も両立したパッケージが評価された。起亜ニロHEVは「最優秀小型ハイブリッドSUV」、テルライドHEVは「最優秀大型ハイブリッドSUV」を獲得した。ラインアップ全体で商品力が認められた形だ。

トヨタ依存度が高かった米国ハイブリッド市場に、初めて強力な代替選択肢が現れたことを意味する。市場の多様化は、消費者にも企業にも利益をもたらす。

2028年までにハイブリッド3倍、現代自動車の青写真

現代自動車グループの次の一手はさらに攻撃的だ。2028年までに北米でハイブリッドモデル69万台を販売する計画だ。2025年時点で米国販売98万台のうちハイブリッド比率が20%程度だったことを踏まえると、3年以内に販売台数を3倍に引き上げる構想となる。

電気自動車も諦めない。EV専用プラットフォームE-GMPの技術優位を維持しつつ、ハイブリッドで販売基盤を広げるツートラック戦略だ。税額控除が消えた市場でも生き残れるラインアップと、需要が回復したときに素早く前進できる技術力を同時に確保する狙いである。

米国現地生産も武器だ。アイオニック5は米国現地組立車だ。関税負担を減らし、インフレ抑制法(IRA)の変更にも柔軟に対応できる構造である。ジョージア・メタプラントが本格稼働し、韓国から輸送する車両の比率を段階的に下げる作業も並行して進んでいる。

ただし課題は明確だ。現代自動車の第1四半期EV販売は1万2662台で、1.5%減少した。市場平均(-27%)よりははるかに良く持ちこたえたが、成長は止まった。充電インフラがさらに整い、バッテリー価格がもっと下がってこそEV市場は再び動き出す。その時まで、ハイブリッドが時間を稼ぐ構図だ。

韓国車が示した解答、危機時に効く多様性

今回の4月実績から読み取るべき本当のメッセージは別にある。市場がどこへ向かうか分からないときは、一つに賭けてはいけないということだ。

EVに全力投球した企業は、税額控除廃止の直撃を受けた。内燃機関だけにとどまった企業は、環境規制に縛られた。

現代自動車・起亜は、内燃機関、ハイブリッド、EV、水素車まで動力源をすべて備えていたため、どちらに市場が傾いても対応できた。多様性が安全網となった事例だ。

消費者にとっても示唆はある。車の購入を検討しているなら、自分の走行パターンと充電環境を改めて見直すべき時期だ。長距離通勤が多く、充電スタンドへのアクセスが難しい環境ならハイブリッドが合理的だ。短距離の都市走行が中心で、自宅充電が可能ならEVも依然として魅力的だ。正解は一つではない。

エリック・ワトソン起亜米国法人営業担当副社長は「不確実性の大きい市場環境の中でも、起亜はSUVとハイブリッド中心の需要変化に先手を打って対応し、販売記録を更新した」と述べた。先制対応という表現が核心だ。変化を先に読んだ側が市場を取ったのだ。

米国自動車市場は2026年に年間1593万台水準まで縮小する可能性があると指摘されている。関税と価格負担が生んだ影だ。その中でも韓国車がシェアを伸ばせるかどうかは、ハイブリッドラインアップがどれだけ深く、広くなるかにかかっている。4月の成績表は、その可能性を数字で証明した。

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