ホルムズ海峡でタンカーが再び海へ出ている。米国とイランが休戦後に後続の核協議に入る中、一時は塞がれていた世界最大の原油輸送路が通常運航の段階に入った。
ドナルド・トランプ米大統領はこの流れを外交成果として強調した。彼は23日(現地時間)、トゥルースソーシャルに、先週月曜日にホルムズ海峡を通って1900万バレルの原油が流出したとして、史上最大の記録だと投稿した。原油価格が下がり、世界がより安全になっているとも付け加えた。
◆ 封鎖が解けた海峡、原油価格は下落
停戦の効果はまず価格に表れている。ブレント原油は1バレル当たり75~77ドル(約1万300円~1万600円)、WTIは73ドル台で取引された。戦争局面で一時100ドル超えが視野に入った流れと比べれば、明らかな下落基調だ。
封鎖期間中、航行は事実上止まっていた。平時には1日2000万バレルを超えていた物流量が、一時は200万~500万バレルにまで落ち込んだ。米国とイランが17日、戦争終結の合意に署名し、封鎖は解除され、通航は急速に回復している。
イランも変化を認めた。アッバス・アラグチ外相は、原油・石油化学製品の輸出制裁が解除され、封鎖も解かれ、凍結資産の一部も解除されたと明らかにした。米側は合意文の全文を今週中に公開すると予告した。
◆ 「史上最大」の数値には疑問が残る
トランプ大統領が示した1900万バレルは、まだ独立して検証されていない。
別の見方もある。国際エネルギー機関(IEA)の資料によれば、米国がイランを攻撃する前の海峡通過量は、1日平均2000万バレル前後だった。大統領が史上最大と呼んだ数値より多い。船舶追跡データも食い違う。ある海上情報会社の集計では、土曜から月曜までに海峡を通過した船舶は109隻で、戦争後3日間としては最大だったが、平時の1日140隻には及ばなかった。
数字が正しいかどうかより重要なのは、市場が向かう方向だ。市場はすでに供給途絶への懸念を和らげている。対イラン制裁の一部緩和と海峡再開が重なり、リスクプレミアムが剥がれる局面に入っている。
危険が消えたわけではない。米情報当局は、イランがその気になればいつでも海峡を閉鎖できるとみている。イエメンのフーシ派を通じて紅海のバブ・エル・マンデブ海峡の航行を脅かす可能性も指摘される。休戦は封鎖が終わったという意味ではない。封鎖能力をそのまま残したまま、しばらく停止している状態に近い。
◆ 韓国が背負った70%の請求書、そして出口
この点で、韓国が受け取った請求書は軽くない。韓国が使う原油の約70%は中東から輸入される。産業研究院の分析では、中東産原油の99%がホルムズ海峡を通過する。石油化学の原料であるナフサも、輸入量の半分超がこの海峡に依存している。海峡ひとつが塞がれれば、精油・石油化学はもちろん、電力や輸出全般まで揺らぐ構造だ。
価格ショックが波及する経路も狭い。産業研究院は、国際原油価格が10%上昇すると、韓国の製造業生産費は平均0.71%増えると分析した。現代経済研究院の報告書によれば、2024年の韓国の原油依存度は、経済協力開発機構(OECD)37か国の中で最も高かった。国内総生産1万ドル当たり5.63バレルを使っている。
ならば、封鎖が解けた今こそ対策を点検すべき時だ。危機が価格に反映されない平穏な局面で構造を変えてこそ、次のショックに耐えられる。
解決策の輪郭はすでに見えている。一つの柱は、輸入先をホルムズ海峡の外へ広げることだ。サウジアラビアがパイプラインで原油を紅海側のヤンブーへ送れば、それを輸入する。いくつかの精油会社は、海峡の外にあるアラブ首長国連邦のフジャイラ港から原油を受け取っている。ただし紅海もフーシ派の脅威から自由ではなく、中東域外の供給ルート確保が課題として残る。
備蓄と点検体制ももう一つの柱だ。政府は通航状況と運賃・保険料の変動を常時追跡し、必要なら備蓄油の放出を検討する方針だ。液化天然ガス(LNG)はすでに輸入量の80%以上を中東域外から調達しており、短期ショックを和らげている。
より根本的な出口は、原油依存度そのものを下げることだ。産業構造とエネルギーミックスを変える長期課題である。海峡が閉じたり開いたりすることは繰り返され得る。封鎖解除の知らせに安堵するより、次の封鎖に耐えられる体力を今のうちに作っておく方が現実的だ。
企業がすぐに握るべき指標も明確だ。ブレント原油価格、戦争リスク保険料、海峡の通航船舶数、港湾混雑度を合わせて見れば、リスクがどこへ向かっているかが読める。タンカーが再び動き始めた今日こそ、最も冷静に次を準備できる日だ。