相場が揺れるなか、「借金して投資する」ビット投資が再び頭をもたげている。銀行のマイナス通帳残高が3年8カ月ぶりの最大規模に膨らんだ。
5大銀行(KB国民・新韓・ハナ・ウリ・NH農協)の個人マイナス通帳残高は、25日現在で43兆3363億ウォンだ。月末基準では2022年10月以降で最も大きい規模となった。2カ月連続で兆単位の増加が続き、5月に1兆8650億ウォン、6月に1兆8039億ウォンが上乗せされた。
マイナス通帳を含む個人向け信用貸出全体も同日、108兆7272億ウォンと集計された。3年ぶりの高水準だ。6月の増加幅は2兆2118億ウォンで、5年2カ月ぶりの最大となった。
◆ マイナス通帳残高43兆ウォン…「借金投資」熱が再び過熱
消化率がすべてを物語る。限度額に対して実際に使った割合のことだ。5大銀行の平均消化率は25日基準で44.8%だった。総限度額96兆7469億ウォンのうち、43兆ウォンが実際に引き出された。新型コロナ以降で最も高い水準だ。
ある銀行は過去最高を記録した。残る4行も、いずれも2021年以降で最も高かった。
金融界は株式市場の動きが背景にあるとみている。コスピが急落と急反発を繰り返すなか、値ごろ感から買いに動いた個人投資家がマイナス通帳を持ち出したという分析だ。新たに借り入れるのではなく、あらかじめ開設しておいたマイナス通帳を短期の資金として使う方式である。ある市中銀行の関係者は「既に開けておいたマイナス通帳で投資資金を用意する事例が増えている。短期レバレッジ需要が再び息を吹き返している雰囲気だ」と話した。
問題は、この熱気が冷めないことにある。相場が揺れるたびに、残高はむしろ増えていった。
◆ マイナス通帳には追証売りがない…だからこそ危険になりうる
証券会社から借りる信用融資は違う。担保維持率が基準を下回ると、証券会社が保有株式を強制的に売却する。追証売りだ。損失は痛いが、その時点で借金は整理される。
銀行のマイナス通帳は無担保貸出だ。証券会社の信用取引説明書でもこの違いが明記されている。銀行の信用貸出は債権回収が民事執行手続きに従う一方、証券会社の信用取引は担保比率が崩れると追証売りで直ちに回収されるという内容だ。
追証売りがないことは安全という意味ではない。警報が鳴らないだけだ。株価が下がっても限度枠が残っていれば、買い下がりを続けることができる。損失はそのぶんさらに膨らむ。
コストも重い。マイナス通帳の金利は一般的な信用貸出より通常0.5~1%ポイント高い。使った分だけ利息がつき、その利息が再び元本に上乗せされる。
満期も変数だ。マイナス通帳は通常1年ごとに延長する。株価急落で信用スコアが下がれば、銀行が延長を拒否したり、限度額を減らしたりする可能性がある。株式が縛られた状態で、借金をすぐ返せという圧力が同時に押し寄せる構造だ。
相場は再び上がっても、口座と信用だけが残る。借金投資の最もありふれた結末だ。
◆ 規制だけでは止められない…専門家が語る借金投資の生存法
当局も動いた。金融監督院は先週、主要10社の証券会社のリスク担当役員(CRO)を緊急招集した。信用融資残高が毎月過去最高を更新したためだ。先月の日平均信用融資残高は36兆3000億ウォンまで急増した。追証売り規模も日平均373億ウォンと、1年前の3倍を上回った。
ソ・ジェワン金融監督院副院長補は「規定に縛られた機械的なリスク管理から抜け出さなければならない」とし、投資家保護を直接求めた。証拠金不足取引を事実上誘導する営業慣行を控え、追証売りの手続きを適時に告知するよう求めたのだ。
韓国銀行も同じシグナルを出した。最近の金融安定報告書で、レバレッジを活用した資産投資の拡大が金融不均衡を悪化させ、脆弱部門の不良化リスクを高めうると警告した。
貸出規制だけで借金投資を防ぐのは難しいという指摘も出ている。銀行がマイナス通帳限度額を絞っても、資金は信用融資や証券担保融資へ移る。いわゆる風船効果だ。証券担保融資残高は先月末26兆3000億ウォンで、5年平均より5兆9000億ウォン多かった。
結局、投資家自身の防御線が重要だ。金融界は、損失を受け入れられる範囲をまず決めるべきだと助言する。損切り基準を事前に定め、生活資金と投資資金を分けるのが基本だ。マイナス通帳の利息が期待収益を削る点も計算に入れなければならない。
原則は明快だ。上昇相場では欲望より冷静さを、変動性が高まるほど攻めよりリスク管理を優先することだ。借金で生んだ収益は、市場が揺れる瞬間に最初に崩れる。