今年に入り、ビッグテック各社が人間の代わりにコンピューターを操作する実行型エージェントを相次いで投入したことで、AIを実際のコンピューター環境で学習させるための“訓練場”が不足している。モデル学習に使うGPUサーバーでは、画面を見ながらクリックする実用訓練を代替するのは難しい。
オープンAIは、Appleの小型コンピューター「Mac mini」と高性能デスクトップ「Mac Studio」を数万台規模で購入し、強化学習とコンピューター使用エージェントの訓練に投入したと、米メディアのThe Informationが報じた。Anthropicは、Amazon Web Services(AWS)を通じてMac miniを借りる方式で同じ需要を満たしている。
▶ エージェントが画面を見てクリックしながら学ぶには、GPUサーバーではなく、実際のコンピューター環境が大量に必要だ。
▶ MacのオペレーティングシステムはApple製ハードウェアでしか動かせないため、Mac環境の訓練には実機の確保が唯一の方法だ。
▶ AIインフラ投資がGPU一辺倒から広がるシグナルであり、小型・低消費電力コンピューティングの需要拡大が見込まれる。
オープンAIがAppleのMac miniとMac Studioを数万台規模で確保したとされる。 (写真=ソリューションニュースAI画像を使用して制作)
30日(現地時間)、米情報技術メディアThe Informationは、オープンAIがこれらの機器を強化学習とコンピューター使用エージェントの訓練に使っていると報じた。
強化学習とは、正解を一つひとつ教えるのではなく、試行錯誤と報酬を通じてAIを学習させる方式だ。コンピューター使用エージェントとは、人間のように画面を見てマウスとキーボードを操作し、作業を処理するAIを指す。
◆ エージェントの訓練には「本物のコンピューター」が必要だ
エージェントは、文書作成ソフトを開き、ウェブサイトにログインし、フォームを埋める過程を何度も繰り返しながら学習する。計算だけを行うGPUサーバーではなく、実際に動作するコンピューターが必要な訓練だ。訓練規模を拡大するには、数千台、数万台のコンピューターを一度に稼働させなければならない。
Mac miniは手のひらより少し大きい程度のサイズで、棚に密に積み重ねることができ、Apple Siliconチップを採用しているため消費電力が少ない。Appleのライセンス方針上、Macのオペレーティングシステム(macOS)はApple製ハードウェアでしか動作しない。Mac環境で作業するエージェントを学習させるには、実物のMacを確保する以外に方法がない。
Anthropicは機器を購入する代わりに、AWSが提供するMac miniクラウドを借りる方式を採っていると伝えられた。大きな資金を投じて統制権を持つ購入と、初期費用を抑える賃借に、両社の戦略が分かれたと業界は見ている。
◆ GPUの外へ広がるインフラ投資
これまでAIインフラ投資は、主にNVIDIAのGPUデータセンターに集中してきた。The Informationの報道が事実であれば、主要AI企業はGPUとは別に、一般的なコンピューター数万台規模の訓練設備まで整え始めたことになる。消費者向け製品だったMac miniが、企業向けインフラ機器として大量に販売された事例でもある。
市場では、大規模な設備投資がオープンAIの企業価値評価や資金調達に与える影響を注視している。
エージェント開発には、超高額なGPUだけでなく、実際の使用環境を再現する訓練インフラが必要だという点は、国内AI企業にもそのまま当てはまる。小型コンピューターとクラウドレンタルを組み合わせれば、比較的少ない費用でも訓練設備を構築できる。