ギャラクシー・フォルダブルのしわを解消した秘密、チタンにあり

サムスン電子は15日、次世代ギャラクシー・フォルダブルに適用する「フレックスチタン」ディスプレー技術を公開した。プラスチックフィルムをチタン合金フィルムに置き換えた二重構造だ。 チタン合金フィルムは従来のポリマーフィルムより剛性が約20倍高い。厚さは髪の毛の3分の1ほどまで薄くし、しわと耐久性を同時に改善した。 背景には市場の再編がある。アップルが来る9月に初のフォルダブル参入を予告し、競争の軸は「どちらが先か」から「どちらがより完成度が高いか」へ移った。 この新技術は、22日にロンドンで開かれるギャラクシー・アンパックで公開されるギャラクシーZ8シリーズに初めて適用される。勝負どころは、消費者が体感するしわの改善幅と価格だ。 フレックスチタンディスプレーのイメージ(写真=サムスン電子) フォルダブルフォンの7年にわたる課題は、画面中央に折れた跡が残るしわだった。サムスン電子はこの長年の課題に、宇宙航空素材で答えた。 サムスン電子は15日、次世代ギャラクシー・フォルダブル機器に適用する「フレックスチタン」ディスプレー技術を公開した。有機発光ダイオード(OLED)パネルの下にあるプラスチックフィルムをチタン合金フィルムに置き換え、これを支えるチタンプレートと結合した二重構造だ。7世代にわたって積み上げたフォルダブル設計を根本から組み直した結果だと、同社は説明した。 ◆宇宙航空素材を画面に折り込む チタンは宇宙航空部品に使われるほど硬く、回復力の高い金属だ。問題は、その硬さだった。弾性と剛性が高く、薄くて柔軟に折りたためなければならないディスプレーには、むしろ扱いにくい素材だった。 サムスンは加工でこの壁を乗り越えた。金属をロールの間で押し広げて薄くする超精密圧延工程で、チタン合金フィルムを髪の毛の太さの3分の1程度まで薄くした。剛性は従来のポリマーフィルムの約20倍だ。画面が折りたたまれたり開いたりする際に生じる変形を抑え、しわを減らし耐久性を高める仕組みだ。 フィルムの下にあるチタンプレートには微細な穴加工を施した。折り曲がる部分の穴の大きさを大幅に小さくし、広げたときは画面をしっかり支え、折りたたむときは滑らかに曲がるようにした。ユ・ギョンジン三星ディスプレー製品開発チーム長の副社長は、この構造で柔軟性と耐久性を同時に確保したと明らかにした。 高解像度設計と新しい有機材料を加え、消費電力も下げた。より薄い機器ほどバッテリーのスペースが減るため、ディスプレーの電力効率はスリム設計の隠れた条件となる。 ◆アップルが変えた競争の軸 素材の変更には、市場構図の変化がある。アップルは来る9月に初のフォルダブルiPhoneを投入するとみられている。カウンターポイント・リサーチは、今年のフォルダブル市場シェアをサムスン31%、アップル29%、ファーウェイ24%前後と予測した。昨年40%だったサムスンの比率が縮小する見通しだ。 競争の性格も変わった。フォルダブル市場が登場から7年で成熟期に入り、勝負どころが「開拓者対後発組」から「技術完成度の勝負」へ移ったという分析が出ている。アップルの初製品がしわを最小化した完成度で登場するとの見方が続き、サムスンとしてはアンパック前に技術優位を示す必要が高まった。 しわは、その対決の最前線だ。消費者が売り場で最初に確認するのが、画面の折れ跡だからだ。チタン採用は、スペック数値ではなく、目と手で感じる完成度で勝負するという宣言と解釈される。 韓国の部品エコシステムにも意味がある。フォルダブルディスプレーは三星ディスプレーがパネルを、韓国の部品メーカーがヒンジや補強材を担う構造だ。完成度競争が深まるほど、素材・部品技術力がそのままセット競争力になるわけだ。 ◆残る観戦ポイントは、体感と価格 新技術の成否は2つで分かれる。 まずは体感だ。剛性20倍という数字が、消費者の指先でどれほど違うしわとして表れるのかは、22日のロンドン・ギャラクシー・アンパックで実機で確認される。この技術はギャラクシーZ8シリーズに初めて適用される。サムスンは今年、既存のFold・Flipに加え、画面比を変えたワイド型までフォルダブルのラインアップを広げる見通しだ。 価格も変数だ。フォルダブルフォンの平均価格は今年、2桁台の上昇が見込まれている。新素材の適用がコスト増につながる可能性があるだけに、完成度向上分を価格がどこまで相殺できるかが実際の販売を左右するとみられる。 折りたたみスマートフォンは、もはや新しさだけで売れる製品ではない。毎日何百回折りたたんでも問題ないのか、広げた画面が平らなのかが、財布のひもを緩める。チタンは、その問いに対するサムスンの答えであり、採点は来週ロンドンで始まる。

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宇宙の暗黒物質90年の謎、答えは5次元にあった

宇宙を構成する物質のうち約27%を占めると推定される暗黒物質が、人間が認識できない「隠れた5次元」に存在するという新たな理論が示された。隠れた次元特有の幾何構造が暗黒物質の性質を決定するという内容で、90年近く続く暗黒物質未検出の状態を説明する枠組みになり得るとの分析が出ている。 英国シェフィールド大学の研究チームは13日(現地時間)、この内容を含む研究結果を国際学術誌『フィジカル・レビューD』に掲載したと明らかにした。研究は、英国王立協会のドロシー・ホジキン上級研究フェローであるユダイ・チャイ博士が主導した。 研究の要点は次の通りだ。暗黒物質は「暗黒光子」と呼ばれる粒子とともに、隠れた次元に存在する。この次元の幾何構造が2つの粒子の質量を特定の比率に整列させ、「共鳴」状態を生み出す。この共鳴が、初期宇宙では暗黒物質の相互作用を増幅させ、現在は条件がずれて相互作用が弱まったという説明である。 ◆ 重力によってのみ存在が確認された宇宙構成物質 ハッブル宇宙望遠鏡の2007年観測画像(左)とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の2026年観測画像(右)。向上した解像度を通じて、暗黒物質の分布と影響をより鮮明に示している。資料=NASA・STScI・A.ペイガン 暗黒物質は光を放たず、反射もしない。どの望遠鏡でも直接観測されたことはない。それでも科学界はその存在自体を疑っていない。根拠は重力だ。 銀河外縁にある星々は、観測される回転速度に基づけば銀河の外へ弾き飛ばされるはずだ。見えている星とガスの質量だけでは、この速度を支える重力が得られないからである。 実際には銀河の形は保たれている。見えない物質が追加の重力を供給しているという計算が成り立つ。科学界が暗黒物質を「銀河をつなぎ止める接着剤」に例える理由である。 観測証拠は積み重ねられてきた。1930年代にはスイスの天文学者フリッツ・ツビッキーが銀河団の観測で最初に問題提起を行った。1970年代には米国の天文学者ベラ・ルービンが銀河の回転速度の測定で存在の根拠を補強した。その後、暗黒物質は仮説段階を超え、標準宇宙論を構成する要素として定着した。巨大質量が背後の天体の光を曲げる重力レンズ現象や、宇宙初期の光が残した宇宙背景放射の観測結果も、同じ結論を指し示している。 欧州宇宙機関のプランク衛星の観測によると、星や惑星のような通常物質は宇宙構成の5%程度にとどまる。暗黒物質が約27%を占め、残りは暗黒エネルギーに分類される。暗黒エネルギーは宇宙膨張を加速させる未知の要素であり、暗黒物質とは別の概念である。 暗黒物質は宇宙構造形成の過程で重要な役割を果たしたと評価されている。ビッグバン後、暗黒物質が先に重力で集まって骨格を作り、その上に通常物質が集まって銀河と星が形成されたというのが標準宇宙論の解釈だ。暗黒物質の性質が解明されれば、銀河形成過程と宇宙進化の計算精度は変わる。 存在は確認されたが、実体は解明されていない。90年にわたる探索にもかかわらず、暗黒物質粒子が直接検出された例はない。現代物理学が解けていない最大の難題の一つに数えられる。 候補理論はあった。物理学界は、他の物質と弱くしか反応しない重い仮想粒子「WIMP」を長らく最有力候補として検討してきた。超軽量粒子アクシオンも候補群に含まれる。WIMPを狙った検出実験だけでも世界で数十に及ぶが、決定的証拠は得られていない。検出器の感度が世代を重ねて大きく向上しているにもかかわらず、探索可能領域が狭まる一方で、WIMP仮説の立場も弱まってきたとの指摘もある。 暗黒物質は大衆文化でも頻繁に取り上げられてきた。映画『スタートレック』では惑星を破壊する渦として、ファンタジー小説『黄金の羅針盤』シリーズでは多元宇宙を支える物質「ダスト」として登場する。 ◆ 次元の幾何構造が粒子の質量を共鳴状態に整列させる シェフィールド大学の研究チームは、この問題に「次元」という概念でアプローチした。人間が認識する世界は、横・縦・高さの3つの空間次元に時間を加えた4次元で記述される。新理論はその先に、観測されない5番目の次元が存在すると仮定する。 余剰次元の仮説は物理学で長年研究されてきたテーマだ。1920年代には欧州の物理学者たちが重力と電磁気力を統合する過程で5次元を導入し、現代の弦理論は余剰次元が極めて小さく巻き込まれているため観測されないと説明する。暗黒物質が余剰次元に存在する可能性も、近年数年にわたり複数の研究で検討されてきた。 今回の研究は、そこに新たな要素を加えた。暗黒物質が、力を媒介する粒子である暗黒光子とともに隠れた次元に存在するという構図だ。暗黒光子は、光子が電磁力を媒介するのと同様に、暗黒物質粒子間の相互作用を媒介する仮想粒子である。 物理学界では、通常物質とほとんど相互作用しない未知の粒子群を「暗黒セクター」という概念でまとめて研究してきた。今回の理論は、暗黒物質と暗黒光子で構成される暗黒セクターが、余剰次元内で機能すると設定したものである。 研究チームの計算によると、隠れた次元特有の幾何構造は、暗黒物質と暗黒光子の質量を精密な配列に整列させる。2つの粒子の質量が特定の比率を成すと、「暗黒物質共鳴」現象が起きる。研究チームはこれを、楽器が正しい音程に達したときに強く響く現象になぞらえた。 チャイ博士は、「暗黒物質共鳴は、初期宇宙で暗黒物質がどのように生成され、今日どのように探索すべきかについての理解を変え得る強力な概念だ」と述べた。 共鳴という概念自体は既存理論にもあった。ただし従来モデルでは、共鳴条件を理論の中から導けなかった。粒子の質量が精密に一致するという条件を、研究者が仮定として置く必要があった。物理学界で「微調整問題」と呼ばれる弱点である。 新理論はこの点を異なる形で扱った。質量の整列が仮定や偶然ではなく、隠れた次元の数学構造から自然に導かれるというのである。チャイ博士は、「従来の共鳴モデルの多くは共鳴を仮定として扱っていたが、今回の研究は共鳴が隠れた次元の幾何構造から直接現れ得る、より深い起源を示した」と説明した。 ...

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AIレーダーで生活安全を守る…スペースバンク、革新プレミア1000に選定

インテリジェント・デジタル転換(AIDX)企業のスペースバンクが、調達庁の「2026革新プレミア1000」企業に選定された。人工知能(AI)を活用した非接触型の生活安全管理技術が、公共調達市場で改めて認められた形だ。 同社は2027年12月31日までの約1年6カ月間、政策金融や公共調達との連携など、カスタマイズ支援を受ける。「革新プレミア1000」は、金融委員会と政策金融機関、調達庁が共同で、革新性と成長性を備えた中小・中堅企業を選定して支援する制度だ。 ◆ カメラなしで守る安全管理 ミリ波レーダーとAIを活用したスペースバンクの非接触型安全管理画面。カメラなしで呼吸・心拍・転倒の有無や微細な動きを感知し、異常状況をリアルタイムで知らせる。 スペースバンクの生活安全管理ソリューションは、ミリ波(mmWave)レーダー基盤の非接触センサーとAIを活用する。カメラを使わずに空間を読み取る方式だ。 映像は撮影しない。個人情報も保存しない。その代わり、レーダーが呼吸や心拍、微細な動きを捉える。誰かが倒れたり異常の兆候を見せると、すぐに警報が鳴る。 カメラを使わない点が技術の核心だ。公衆トイレ、病院の病室、介護施設の個室、住居空間は、プライバシーが特に敏感な場所だ。CCTVを設置しにくい場所で、レーダーが代替手段として機能する。見守るが、撮らない方式だ。 現場への適用も広がっている。同社のヒューマンケア・ソリューションは、ウィワン市立療養院や仁川第2市立老人療養病院などに導入された。遺伝資源保管施設の安全管理にも使われ、死角をリアルタイムで監視している。 昨年、調達庁の革新製品に指定され、公共機関への導入基盤を整えた。 ◆ 超高齢社会が押し上げた需要 この技術が公共の関心を集める背景には、人口構造の変化がある。韓国は超高齢社会に入った。高齢者は増え、介護する人手は不足している。 韓国保健社会研究院の見通しによると、介護福祉士の不足は今後さらに深刻化する。人材供給がピークを越えて減少する一方で、介護需要は増え続けるという分析だ。 その空白を技術が埋める。人が常に見守ることが難しい時間と空間を、管理装置が代わりに監視する。医療と介護、訪問ケアを一つに統合する「ケア統合支援法」が昨年施行され、それを支える技術需要も同時に拡大している。 超高齢社会への突入で介護人材不足が深刻化する中、高齢者の安全と日常を支えるケア技術の重要性が高まっている。 ◆ 実証から普及へ 選定企業への恩恵も幅広い。政策金融の金利・保証優遇、公共機関の優先購入や試験購入、第3者単価契約と随意契約の連携、民間投資や海外販路開拓まで含まれる。 調達庁は革新製品に指定された企業を対象にしている。実証を終えた製品を公共機関が先に購入する流れにつなぐ仕組みだ。新しい技術が市場に定着する最初の関門が公共調達になるわけだ。 スペースバンクは、安全・ケアのエコシステム構築にも乗り出している。AI基盤の安全ケア技術で発足した韓国安全ケア協会に、発起人企業として参加した。成均館大学とはフィジカルAI実証ラボを共同運営している。 イ・ウォンヒ スペースバンク代表は「革新プレミア1000選定は、スペースバンクが蓄積してきたAIとデータ基盤のデジタル転換技術の革新性と成長可能性が正式に認められた結果だ」とし、「今後も公共安全とスマートケアはもちろん、多様な産業分野でAI基盤の革新的サービスを拡大し、グローバル市場でも競争力を備えたAIDX専門企業へと成長していく」と述べた。

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ブログを探し回った水遊び検索、地図一枚で完結【地域ソリューション】

ソウル市は13日から、スマートソウルマップの「都市生活地図」で「都心の避暑地」サービスを運営している。25の自治区に散在する水遊び施設422カ所の位置や運営時間、便宜施設の情報を地図ひとつに集約して提供する。サービスは来月末まで続く。 施設別では、プール103カ所、水遊び場97カ所、床噴水147カ所、その他の水景施設66カ所で、臨時中断中の9カ所も表示される。今年新たにオープンしたクァンナル漢江公園水遊び場も確認でき、追加の運営施設は順次反映される。 スマートソウルマップは、パソコンとスマートフォンの両方で利用できるレスポンシブWebサービスで、QRコードからもアクセスできる。地図コピー機能を使えば、土地勘のない知人や親族にも水遊びスポットを簡単に共有できる。 サイトでは夏の余暇情報もあわせて提供している。ソウル国際庭園博覧会の地図はソウルの森公園の庭園位置と観覧動線を、ソウル夜景の地図は夜景名所を、ソウル祭りの地図は季節ごとの主要祭りを地域別に案内する。 これまで夏季の水遊び施設情報は、自治区や事業部署ごとに分散していた。市民は区役所のサイトやブログ、SNSを一つ一つ探し回らなければならなかった。同じソウル市内でも、どの地域にどんな施設があるのかを一目で把握するのは難しかった。 分散した行政情報を地図ひとつに集めれば、検索の手間が減り、近隣自治区の施設まで比較できる選択肢が生まれる。幼い子どもを持つ家庭にとって移動の負担はそのまま費用であり、生活圏内の避暑という実益は大きい。 3月にBTSの光化門公演の際、開放トイレの位置を案内したこの地図の使い道が、季節情報へと広がる流れだ。 焦点は情報の鮮度だ。ソウル市は今年、自治区担当者が直接情報を更新する管理体制を運用する。運営中止が遅れて反映されると、肩透かしを食らう市民が出かねないためだ。 猛暑や水質問題で施設の運営が急に変わる夏の特性を踏まえると、更新周期と責任の所在を明確にする指針が必要だという指摘だ。 アクセシビリティの格差も検討すべき点だ。レスポンシブWebとQRコードはスマートフォンに慣れた世代には便利だが、デジタル機器の利用が難しい子育て世代や祖父母世代には敷居になり得る。住民センターや図書館などのオフライン拠点で案内を併用する案も検討に値する。 地図の利用データを施設運営にフィードバックする仕組みも課題だ。どの地域でどんな施設が多く利用されているかを把握できれば、混雑分散の案内や新規施設の配置判断に活用できるという分析が可能だ。情報提供にとどまらず、需要管理へ進む余地がある。 統合地図の持続性は運営体力にかかっている。昨年に続き今年で2年目のサービスだ。夏の一時的なイベントに終わらせないためには、ソウル夜景やソウル祭りの地図のような季節コンテンツと連携し、市民が一年を通じて訪れる常設サービスへ育てる戦略が必要だという指摘もできる。

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養殖魚2640万匹が大量斃死…今年の夏、海が危険だ【気候、それでどうする③】

海が再び温まりつつある。海洋水産部は7月14日18時をもって、高水温危機警報の「注意」段階を発令した。国立水産科学院が同日16時を期して、西海・南海・済州沿岸の21海域に高水温予備特報を出したことを受けた措置だ。 高水温危機警報は、関心、注意、警戒、深刻1段階、深刻2段階の順に引き上げられる。予備特報は海水温が25度に達した、または達すると予想される場合に出される。水温25度は養殖魚がストレスを受け始める境界線だ。人でいえば猛暑注意報に相当する段階で、28度を超えると養殖生物が耐えうる限界を越え、大量斃死が起きる。 数値はすでに境界線を超えている。7月13日13時時点で、全南・咸平と宝城沿岸の水温は27.6度を記録した。忠南・舒山は26.7度、麗水・新月は26.0度、慶南・南海は26.2度だった。全南・海南(23.9度)と西済州(24.3度)のように、まだ基準線を下回る地点もあるが、差は大きくない。相当数の海域で25度の線を超えた状態だ。 高水温予備特報発表海域(資料=海洋水産部) 水温が上がると、魚は二重苦に見舞われる。暖かい水は酸素をあまり含まない。一方、魚類は体温が水温に左右される変温動物で、水温が上がると新陳代謝が速くなり、より多くの酸素を必要とする。酸素供給は減り、需要は増える構造だ。網の中に閉じ込められたいけす養殖の魚は、涼しい水を探して移動することもできない。 今年の予備特報は、昨年7月3日より11日遅く出された。梅雨前線が朝鮮半島付近に停滞し、雨が多かったため、そのぶん水温上昇が遅れた結果だ。遅い警報が安全を意味するわけではない。梅雨が去って猛暑が居座れば、水温は短期間で急上昇する。済州道海洋水産研究院が最近観測した済州沿岸の表層水温は、昨年の同じ時期より約1.3度高かった。 海洋水産部は危機警報の格上げと同時に非常対策班を設置し、現場点検と教育を強化する方針だ。全国210か所の水温観測網でリアルタイムに水温を測定し、文字メッセージとウェブサイトで地方自治体と漁業者に知らせている。液化酸素供給機などの対応装備は、10の広域地方自治体にあらかじめ配備を終えた。養殖場で働く外国人労働者のために、英語とインドネシア語による管理要領も配布した。 黄鐘祐・海洋水産部長官は「現在、猛暑が続いており、本格的な水温上昇が予想される」とし、「地方自治体とともに養殖場の準備状況を現場で直接点検している」と述べた。漁業者には早期出荷、飼育密度の調整、対応装備の点検を要請した。 ◆ 韓国の海は地球平均より2倍速く煮え立つ 警報発令は表面に表れた症状にすぎない。原因は、海そのものが構造的に温められていることにある。 海は地球温暖化の最前線だ。温室効果ガスが閉じ込めた熱の90%以上を海が吸収しているとされる。大気よりも海に熱が先に、より多く蓄積される構造だ。水は空気よりはるかに多くの熱を抱え込むため、水温1度上昇が意味する熱量は気温1度とは次元が違う。 国立水産科学院の分析によると、韓国の近海表層水温は1968年から2024年までに約1.58度上昇した。同期間の地球全体の表層水温上昇幅は0.74度だった。韓国の海が世界平均より2倍以上速く温まっているという意味だ。2024年の韓国海域の年平均表層水温は18.74度で、57年の観測史上最高だった。 前回の連載で扱った欧州と重なる部分だ。欧州大陸は地球平均より2倍速く温暖化し、猛暑死者を生んだ。韓国では陸地ではなく海が同じ速度で熱を帯びている。温暖化は地球全体に均等に進むわけではない。脆弱な場所から2倍の速度で襲う。 韓国の海が特に早く温まる背景としては、北太平洋高気圧の拡張と対馬海流が挙げられる。夏に高気圧が朝鮮半島を覆うと気温が上がり、海も一緒に温められる。対馬海流は対馬海峡を通って東海へ上る過程で、西太平洋の暖かい海水を運ぶ。この流れが強まれば、沿岸水温を押し上げる。 陸地に猛暑があるなら、海には「海洋熱波」がある。平年よりはるかに高温の海水が何日も続く現象で、世界的に発生頻度が増えている。朝鮮半島周辺の海も例外ではない。 水温上昇により韓国近海の魚種分布が急速に変化している。従来の魚種は北上するか漁獲量が減り、空いた分は暖流性・亜熱帯性の魚種が埋める傾向にある。(写真=Animalia) 温まった海は、まず魚種の地図を塗り替えた。東海の明太やドジョウ鱈はロシア海域へ押し上げられた。済州の特産とされたブリは東海で獲れる。国民魚だったイカの漁獲量は2010年代以降急減した。温帯性魚種が北上した空白を、亜熱帯性魚種が埋める傾向にある。 変わりつつある海は、食卓価格にもつながる。近海漁業の生産量は減少傾向が続き、2020年から2023年まで平均93万トン水準にとどまった。2024年には高水温の影響で海苔の作柄が悪化し、海苔価格が上昇した。西海のワタリガニは漁場が散り、競り上げ量が30%以上減って価格が上昇した。海が温まるほど水産物の供給が揺らぎ、消費者負担が増す流れだ。 養殖場には災害として襲いかかる。高水温は赤潮と並ぶ夏の代表的な漁業災害に分類される。国立水産科学院の集計によると、2011年から2023年まで、高水温と低酸素塊、クラゲ出現など自然災害による養殖漁業被害は計3,260億ウォンだった。このうち高水温被害が1,947億ウォンで60%を占めた。 ◆ 1,430億と95億、被害を分けたのは水温ではなかった 高水温と低酸素塊が重なり、慶南の養殖場でカキの斃死被害が拡大した。(写真=ソリューションニュース・マグニフィック) 2024年の夏は、韓国の養殖業史上最悪の年として記録された。その年の高水温被害額は1,430億ウォンで、過去最大だった。従来最大だった2018年の713億ウォンの2倍規模だ。南海岸だけで養殖魚2,640万匹余りが斃死した。慶南では925の漁家が659億ウォン相当の被害を受けた。 水温に敏感なホヤは、公式集計された斃死率が97%に達した。カキも無事ではなかった。長く温められた海に、酸素の不足した水塊である低酸素塊まで重なり、慶南全体のカキ養殖場の3分の1にあたる1,130ヘクタールが被害を受けた。 ...

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現代自動車スト、1時間当たり187億損失…過去にはこうやって解決した

現代自動車労組が13日から15日まで3日間、勤務組ごとに1日2時間の部分ストライキに入った。昨年に続き2年連続のストライキで、約5000台の生産支障と2000億ウォン規模の売上損失が見込まれている。 労組は基本給14万9600ウォン引き上げと純利益の30%を成果給として求めている一方、会社側は基本給8万9000ウォンと成果金350%+1000万ウォンを提示しており、隔たりは大きい。解雇者の復職と定年延長も争点となっている。 労使は2019年から2024年まで、創業以来初めて6年連続の無紛争妥結を記録してきた。電気自動車工場への投資や熟練人材の再雇用拡大といった“交換”が、妥結の公式だった。 16日の中央争議対策委員会が追加ストライキの分岐点となる。完全月給制の共同研究など、すでに接点を見いだした議題をてこに集中的に交渉する方法が解決策として取り上げられている。 현代自動車グループ良才本社庁舎(写真=現代自動車グループ) 現代自動車の労使賃金交渉が2年連続でストライキに発展した。全国金属労組・現代自動車支部は13日から15日までの3日間、勤務組別に1日2時間の部分ストを実施している。 蔚山工場の組合員2万人余りをはじめ、全州・牙山工場の生産ラインも一時停止した。生産ライン基準では1日最大4時間、3日間で計12時間が止まる規模だ。業界では、今回のストで約5000台の生産に支障が生じ、2000億ウォン規模の売上損失が発生する可能性があると見積もっている。時間当たりの生産支障額は187億ウォンを超えると計算される。 労使は8日まで15回交渉したが、接点を見いだせなかった。水面下での協議は続いているものの、進展がなければ16日の中央争議対策委員会で追加ストライキが決定される可能性が取り沙汰されている。 ストライキの手順は先月固められた。労組は交渉決裂を宣言した後、中央労働委員会の調整を経て、先月24日に争議行為の賛否投票を可決した。賛成率は投票者の92%に達した。全国金属労組の総スト決議大会が開かれる15日には、スト時間を勤務組別に4時間以上へ延長する案も検討されているという。 ◆ 賃金格差に加わった復職・定年争点 交渉がこじれた主因の1つは賃金格差だ。労組は昇給分を除いた基本給14万9600ウォンの引き上げと、前年度純利益の30%の成果給、賞与800%の増額を要求している。会社側は15回目の交渉で、基本給8万9000ウォンの引き上げ、成果金350%+1000万ウォン、自社株15株を含む3回目の提示案を出したが、労組は期待に届かないとして拒否した。 賃金以外の争点が対立を深めている。過去の労組活動の過程で違法行為により解雇された組合員の復職と定年延長をめぐり、労使は平行線をたどっている。崔永日・現代自動車代表理事は10日の談話文で「解雇者の復職、定年延長などを理由にストライキを行うのは遺憾だ」と述べたが、労組は会社がストの責任を労組に押し付けていると反論した。 経営環境の認識の違いも背景にある。会社側は昨年の営業利益減少、今年上半期の販売不振、米国の関税負担を挙げ、余力は大きくないとの立場だ。 労組は物価上昇を考慮した実質賃金の引き上げが必要だと対抗している。ノランボンブ法の施行で元請け・下請け交渉の構図が変わった点や、AIとロボット導入に伴う雇用不安も、今年の交渉を例年より複雑にした要因として指摘されている。 ◆ 6年連続無紛争が示した妥結の公式 現代自動車の労使が対立ばかりを繰り返してきたわけではない。2019年から2024年まで、労使は創業以来初めて6年連続で無紛争妥結を記録した。対立の争点を別のカードと交換する方式が繰り返し機能した。 2022年には、会社側が2兆ウォンを投じて蔚山に国内初の電気自動車専用工場を新設することを決め、四半期ごとの労使定例協議体を設けることで合意が成立した。雇用安定という労組の要求を、未来投資の約束で受け止めた事例だ。 2024年には、基本給11万2000ウォンの引き上げと成果金500%+1800万ウォンなど当時最高水準の賃金条件に加え、退職後の再雇用期間を1年から2年に延長し、技能職800人を追加採用する案が盛り込まれた。法定定年には手を付けず、再雇用拡大で定年延長要求を迂回した折衷案だった。暫定合意はスト予定日の2日前に出された。 ストが起きた後にも出口はあった。昨年、労組は7年ぶりに部分ストに踏み切ったが、その後、部分ストと集中交渉を並行した末に、賃金・団体協約を妥結した。ストがそのまま長期対立につながるわけではないということだ。 ◆ すでに接点はある、16日が分岐点 今年の交渉にも足がかりはある。労使は完全月給制導入のための共同研究とタスクフォース運営に合意し、フィジカルAIとロボティクスなど新技術の導入に共同対応することで意見をまとめた。核心技術職の能力向上費の引き上げと手当改善案にも接近している。賃金総額ではなく議題ごとには、すでに“取引”が成立しているわけだ。 過去の妥結の公式に照らせば、残る課題は明確だ。賃金格差は追加提示で縮めつつ、定年や復職のように法と原則が関わる議題は、再雇用拡大や雇用安定の約束といった代替カードで解く流れが、繰り返し実証された解決策だという分析が出ている。 ...

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JAXA再使用ロケットRV-Xの離着陸成功…スペースX追撃始動

日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日午前6時14分ごろ、秋田県能代市の能代ロケット実験場で、再使用ロケット実験機「RV-X」の初の飛行試験を実施した。日本経済新聞や共同通信などによると、機体は約11メートルの高さまで垂直に上昇した後、空中でしばらく停止し、約16メートルを水平移動して地上に着陸した。全体の飛行時間は40秒ほどだった。 試験を率いた伊藤隆志JAXA研究開発マネージャーは「機体は正常に飛行した」とし、「開発に関わって10年、部品試験から一歩ずつ積み上げて飛行試験を無事終え、安堵している」と述べた。JAXAは飛行データを分析して最終的な成功可否を判断し、機体を点検したうえで、同じ機体で2回目の試験を行うかどうかを決める方針だ。 RV-X小型再使用ロケットが試験飛行中に空中でホバリングしている。 一度打ち上げて捨てていたロケットを、航空機のように再び使う時代が始まりつつある。米スペースXが9年間先行してきた競争に、日本が最初の一歩を踏み出した。 日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日午前6時14分ごろ、秋田県能代市の能代ロケット実験場で、再使用ロケット実験機「RV-X」の初の飛行試験を実施した。日本経済新聞や共同通信などによると、機体は約11メートルの高さまで垂直に上がった後、空中でわずかに停止し、約16メートルを水平移動して地上に着陸した。飛行時間は40秒強だった。 試験を率いた伊藤隆志JAXA研究開発マネージャーは「機体は正常に飛行した」とし、「開発に関わって10年、部品試験から着実に積み上げて飛行試験を無事終えられ、ほっとしている」と語った。JAXAは飛行データを分析して最終的な成功可否を判断し、機体点検を経て、同じ機体で2回目の試験を行うかどうかを決める方針だ。 ◆ 40秒の飛行が難しい理由 11メートルはマンション4階ほどの高さに相当する。だが、日本メディアは、この短い飛行の中に再使用ロケットの核心技術が凝縮されていると評価している。 ロケットを再利用するには、打ち上げた機体を定められた地点に正確に降ろさなければならない。落下する機体の姿勢と速度をリアルタイムで制御する誘導技術、着陸の瞬間までエンジン出力を精密に調整する技術が必要だ。着陸脚も取り付ける必要があるため、機体はさらに軽くなければならない。RV-Xは直径1.8メートル、全長7.3メートルで、衝撃を吸収する着陸脚4本を備えている。 道のりは平坦ではなかった。JAXAは三菱重工業とともに2016年からRV-Xの開発を進めてきた。昨年までエンジン燃焼試験を重ね、今年3月に予定していた初飛行は天候と装備の不具合で延期された。10年の開発を経てたどり着いた40秒だったわけだ。 試験の目的は飛行そのものにとどまらない。日本経済新聞によると、JAXAは回収した機体とエンジンを分解して調べ、再使用に適した金属材料は何か、再打ち上げまでにどの程度の整備が必要かを段階的に確認する計画だ。 ロケットは打ち上げ過程で極度の高温にさらされるためだ。JAXAは今後の試験で、高度を約100メートルまで引き上げる計画とされている。 ◆ ロケット代の半分以上を再び使うということ 日本の再使用ロケット実験機『RV-X』の飛行試験の様子。 各国が再使用に力を入れる理由は、突き詰めればコストにある。ロケットで最も高価なのはエンジンが集まった1段だ。この部分を回収して整備し、再び打ち上げれば、機体製造の期間が短縮され、新たな資材投入も減る。衛星をより頻繁に、より安く打ち上げられる構造になる。 差はすでに大きく開いている。スペースXは2017年から再使用ロケット「ファルコン9」を商業運用してきた。ファルコン9は衛星を載せた2段を分離した後、1段がエンジンを逆噴射しながら地上や海上のバージ上に戻って着陸する。 この日、日本が11メートルの高さで確認した技術を、宇宙境界付近で実現しているのがスペースXだ。同社は同じ1段ロケットを最大35回まで再使用した記録も持つ。このコスト競争力を武器に、世界の衛星打ち上げ案件を取り込んでいると評価されている。 追随する陣営の動きも加速している。ジェフ・ベゾス氏が率いるブルーオリジンは今年4月、大型ロケット「ニューグレン」に回収した1段を再投入することに初めて成功した。中国の国営メディアは、日本の試験の前日10日、同国がロケット1段の回収に初めて成功したと報じた。日本国内でも、ホンダ系研究所が昨年6月に民間企業として初めて再使用ロケットの離着陸試験を達成している。 日本政府が焦りを強める背景はここにある。日本の主力ロケットH3は使い捨て方式だ。先代のH2Aより安く設計されたとはいえ、世界市場で競争するにはさらなるコスト削減が必要だとの見方が続いてきた。 日本政府は宇宙開発の基本方針である宇宙基本計画に、2040年代初めまでに打ち上げコストを大幅に引き下げる目標を盛り込んだ。再使用技術で単価を下げ、海外の衛星打ち上げ案件を獲得する狙いだ。 JAXAはH3後継機に一部再使用方式を導入し、2030年代初めの実用化を目指している。今回の試験データは、ドイツ・フランスと共同開発中の上位実験機「カリスト」に反映される。カリストはRV-Xと同系統のエンジンを使用し、2026会計年度内の打ち上げが計画されている。 ◆ 韓国も切り替え、2兆ウォン規模の再使用転換 ...

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SKハイニックス、ナスダック上場初日に13%急騰…韓国より35万ウォン高かった

SKハイニックスが米国資本市場の最前線に立っている。同社は10日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズスクエアのナスダック・マーケットサイトで米国預託証券(ADR)上場記念のオープニングベル行事を開き、正式に取引を開始した。行事には崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長、崔在源(チェ・ジェウォン)最高副会長、郭魯正(クァク・ノジョン)SKハイニックス最高経営責任者(CEO)などグループ首脳が総出動した。 初日の成績は華やかだった。公募価格149ドルで始まったADRは、寄り付き170ドルを形成した後、場中に177ドルまで上昇し、最終的に168.49ドルで取引を終えた。公募価格比13.08%上昇となる。今回の公募で調達した資金は265億ドル、ウォン換算で約40兆ウォンに達する。2014年のアリババ(250億ドル)を上回る、外国企業の米国上場として過去最大の記録だ。 (現地時間)10日午前9時30分、米ニューヨークのナスダック・マーケットサイトで開かれた「オープニングベル」行事で、崔泰源SKグループ会長、郭魯正SKハイニックスCEO、高承範SKハイニックス社外取締役兼取締役会議長が鐘を鳴らし、ナスダックADR取引開始を知らせている。© Nasdaq, Inc. 2026(出典=ハイニックス) ADRは、外国企業の株式を預託機関が保管し、それを基に米国市場で取引できるよう発行する証券だ。米国投資家は両替や韓国の証券口座なしに、ドルでSKハイニックスへ投資できる。今回発行されたADR10株は国内普通株1株に相当し、基礎となる新株1779万株は既存上場株式の約2.5%規模だ。 公募需要は募集株数の7倍を超えたと伝えられた。ADRは暫定銘柄コード「SKHYV」で取引を開始し、13日から正式ティッカー「SKHY」が適用される。公募代金は14日に払い込まれ、新株は29日ごろ国内有価証券市場に追加上場される予定だ。郭CEOは記念あいさつで「技術リーダーシップを証明し、AIがあるすべての場所で共にする」と強調した。 エヌビディアの『GB300』とSKハイニックスの『HBM3E』『HBM4』(写真=SKハイニックス) 今回の上場の本質は、資金調達を超える。確保した資金は、龍仁半導体クラスター1期ファブと清州先端パッケージング工場の建設、EUV(極端紫外線)露光装置の導入に投入される。AIメモリー需要が供給を上回る局面で、増設資金の調達先を国内ではなく米国市場に求めた点が核心だ。 背景には、バリュエーション格差という構造的問題がある。高帯域幅メモリー(HBM)市場を主導しながらも、SKハイニックスの株価純資産倍率は米国競合のマイクロンを大きく下回ってきた。同じ事業をしていても上場市場によって企業価値が変わる現実を、同社が迂回した形だ。 時期の選択も絶妙だ。同社が米証券取引委員会に提出した資料によると、HBM市場シェアは56.4%に達する。上場前の米国・欧州・アジアのロードショーでは、機関投資家がAIメモリー市場をけん引する技術力と成長性に高い関心を示したという。業界では、新規生産施設の建設期間を考慮すれば、メモリー供給不足が数年間続く可能性があるとの見方も出ている。 初日、市場はこの論理に賛意を示した。ADR終値をウォンに換算すると、普通株1株当たり約253万ウォンとなる。前日の国内終値218万ウォンより約16%高い。米国投資家が同じ会社により高い値を付けたわけだ。 証券業界では、再評価効果に重きを置く。ナスダック100指数とフィラデルフィア半導体指数への組み入れが現実化すれば、パッシブ資金の流入が続き、ADR高が国内本株の株価を押し上げるという論理だ。新株発行規模が既存株式の約2.5%にとどまり、希薄化の負担が限定的だという評価も優勢だ。 価格乖離については、前例を根拠に持続可能だとみる見方がある。証券業界では、TSMCの米国ADRが台湾本株より継続的に高値で取引されてきた点を挙げ、米国市場の追加需要と限定的な裁定取引がプレミアムを支えうるとみている。 反論も少なくない。個人投資家の間では、新株発行による持分価値の希薄化への不満が続いてきた。指数組み入れも上場後一定期間が過ぎてから審査対象となるため、年内の組み入れは難しいとの観測が出ている。16%に達する本株との価格乖離が維持されるかも不透明だ。今後の業績やメモリー価格、為替、米国株式市場のAI投資心理によって縮小する可能性があるとの指摘だ。 今回の上場を、メモリー・スーパーサイクルの持続可能性を見極める試金石と見る向きもある。半導体ピークアウト懸念で大型株が揺れる中、ADR需要は業況に対するリアルタイムの投票の役割を果たすという解釈だ。 タイムズスクエアのアナモルフィック電光掲示板では、SKハイニックスの代表製品HBMが立体的な映像で表現された。(写真=ハイニックス) 今回の上場は、国内大型株の「二重上場時代」の幕開けを告げるシグナルだ。成長資金を賄える流動性とバリュエーションを持つ市場へ企業が移動するという事実が、40兆ウォンという数字で証明された。国内資本市場にとっては痛い現実だ。 タイミングも皮肉だ。国内株式市場は最近、半導体ピークアウトへの懸念と中東リスクが重なり、急落と反発を繰り返す変動相場を経験した。こうした局面で代表銘柄の価格発見機能の一部が米国市場に移った格好だ。上場の成功が投資心理を回復させる契機になるとの期待と、流動性の重心移動の始まりだという警戒が共存している。 成功事例が確認された以上、後続企業が現れる可能性は高い。大規模設備投資が必要なバッテリー・バイオ企業が同じ経路を検討する誘因が生まれた。この流れが定着すれば、国内株式市場は価格決定力を米国に奪われ、衛星市場に押しやられる恐れがある。 一方で、機会になる余地もある。ADRプレミアムが本株の再評価を促せば、コリア・ディスカウント解消の触媒として作用しうる。重要なのは、乖離を縮める方向が本株の上昇なのか、ADRの下落なのかという点だ。 まず必要なのは、国内市場の資金調達機能の回復だ。金融委員会と韓国取引所は、大型増資と上場制度のスピード・コスト競争力を米国水準まで高めなければならない。バリュエーション格差の根源である支配構造と株主還元慣行を改めず、資金だけを引き留めようとするやり方は通用しない。数十兆ウォン規模の調達が国内で不可能だという認識が定着すれば、流出は繰り返される。 価格乖離の管理も必要だ。ADRと本株の間で裁定取引が円滑であってこそ、両市場の価格は収れんする。外国人投資家登録や両替手続きなど取引摩擦を減らすことは企画財政部と金融当局の役割だ。 市場インフラの整備は韓国取引所と韓国預託決済院の課題だ。ADRと原株の転換・決済手続きに数日かかる構造では、乖離は投機の材料に変質する。転換に要する期間短縮と手数料の透明化、大型株の英語開示義務拡大が伴ってこそ、両市場は一つの価格で結ばれる。 ...

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崔泰源会長「2倍増設でも不足」…SKハイニックス、ナスダックで40兆ウォン調達

メモリー半導体企業の資金調達の舞台が米国へと広がっている。人工知能(AI)需要の急増が背景にある。 SKハイニックスは10日(現地時間)、ナスダックに米国預託証券(ADR)1億7790万株を上場した。募集価格は1株149ドル、調達額は265億ドル(約40兆ウォン)だ。報道を総合すると、外国企業による米国企業公開(IPO)としては史上最大規模で、米国市場全体でも過去2位にあたる。2014年に中国アリババが記録した250億ドルを上回った。 募集価格は、前日の韓国株式市場の終値をADR基準で換算した価格より2.9%高く設定された。大規模な新株公開を既存株価より割引して決める慣行を踏まえると、異例だ。需要予測では、募集物量の7倍を超える約2000億ドルの注文が集まったとされる。上場初日の株価は170ドルで始まり、募集価格より12.8%高い168.01ドルで取引を終えた。 ◆ 増設計画にも供給不足を訴える顧客企業 최태원 회장은 상장 직후 미 CNBC방송 인터뷰에서 “앞으로 5년 안에 생산능력을 2배로 확대할 계획”이라며 “그런데도 모든 고객이 ‘그것으로는 충분하지 않다, ...

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家ではなく株を買う韓国の若者たち、コスピ9000時代の解決策は

日本の週刊誌ブンシュンが韓国の若者の株式投資ブームに注目した。給料と借入だけでは家を買えないという認識が、若者を証券市場へ向かわせているという分析だ。 今年1〜4月に株式・債券を売却した資金3兆7255億ウォンが住宅購入資金として流入した。30代が1兆2592億ウォンで最も大きな割合を占めた。 上昇相場は半導体業種に偏っている。資本市場研究院は、若者の金融資産における上位・下位層の格差が4.7倍に広がったと警告した。 解決策としては、分散投資、青年未来積立金のような政策型資産商品の活用、住宅はしごの回復が挙げられる。青年未来積立金の次回募集は12月だ。 家の代わりに株を買う若者たち(写真=ソリューションニュースAIイメージ挿絵) 韓国の若年層の資産形成ルートが、不動産から株式へ移っている。日本メディアがこの流れを構造的現象として分析した報道を出した。 日本の週刊誌ブンシュン(文藝春秋)は10日、オンライン版で韓国の若者の株式投資ブームを取り上げた。同誌は韓国経済紙幹部の話として、「若い世代は、給与と住宅担保ローンだけでは一生家を買えないことに気づいた」と伝えた。ブンシュンは、コスピが先月9000を突破したと紹介し、上昇相場の裏に住宅不安があると指摘した。 証券市場の環境も熱気を高めた。ブンシュンは、李在明政権の発足後、政治的安定と人工知能(AI)の拡大に伴う半導体好況が重なり、上昇相場が続いていると分析した。2024年12月の戒厳事態以降、韓国を離れていた海外投資家が戻ってきているという見方も付け加えた。 数字がその分析を裏づける。韓国ギャラップが昨年7月に実施した調査では、「最も有利な資産運用方法」として株式が31%を得て、不動産(23%)を上回った。2000年に調査を開始して以来、初めての逆転だった。同誌は、韓国の株式投資家のうち30代が約20%、20代が約10%を占めるとし、20代はレバレッジ型上場投資信託(ETF)や成長株中心で少額高収益を狙う傾向があると紹介した。 株式で得た利益は再び住宅へ向かう。国会国土交通委員会所属のキム・ジョンヤン国民の力議員が国土交通部から受け取った資料によると、今年1〜4月に株式・債券売却代金を活用した住宅購入資金は3兆7255億ウォンと集計された。このうち65.5%にあたる2兆4396億ウォンがソウルの住宅購入に使われた。年齢別では30代が1兆2592億ウォンで最も多かった。 15億ウォン以上の高額住宅購入に使われた株式・債券売却資金の割合は、4月に13.2%で初めて二桁を記録した。株式市場の収益が高額住宅市場へ流れ込む動きが統計で確認された形だ。 ◆ 13.9年貯めてソウルのマンション1軒 原因は住宅価格だ。国土交通部の資料などによると、ソウル市民が可処分所得を1ウォンも使わずに貯めて家を買うまでにかかる期間は13.9年に達する。ニューヨーク(9.7年)より長い。 ブンシュンはソウル市民の言葉を引用し、「マンション価格が高すぎて投資の第一歩すら踏み出しにくく、すでにマンションを持つ人も規制のため追加購入ができない状況だ」と伝えた。資産格差も要因として挙げた。 同誌は、「『パパチャンス』『金の匙・土の匙』という言葉が流行するほど格差が広がった」とし、中産層以下の家庭で育った若者にとって、株式がほぼ唯一の階層移動手段として認識されていると分析した。 海外の見方は日本にとどまらない。ブルームバーグ通信は昨年12月、「韓国の若者は今や無理をして家ではなく株を買う」と評価した。同通信は、チョンセ詐欺事件が相次ぎ、従来の住宅はしご機能が弱まったことで、参入障壁の低い金融市場へ若者が移動したと分析した。 実際の資産構成も変わっている。資本市場研究院の調査では、若年層の金融投資比率は2019年の10%から2024年には17%程度へと拡大した。5年間でほぼ2倍に増えたことになる。 ◆ 半導体が押し上げた相場、格差はさらに拡大した 警戒すべき点もはっきりしている。ブンシュンは、現在の上昇相場がサムスン電子とSKハイニックスの2銘柄に支えられていると指摘した。韓国経済紙の幹部は同誌に、「半導体はいまスーパーサイクルに入っているが、必ず不況期は来る」と述べた。特定業種が主導する相場は、その業種が崩れた瞬間に市場全体を揺るがしかねないという警告だ。 投資ブームの成果が若年層全体に均等に行き渡ったわけではない。資本市場研究院が昨年6月に出した報告書によると、若年層の純資産に対する金融資産の比率は2019年の19%から2024年には27%へ拡大した。だが報告書は、若年層上位20%世帯の金融資産が約1億1000万ウォンである一方、下位40%は2500万ウォン台にとどまると明らかにした。格差は5年で3.7倍から4.7倍へ広がった。 所得の低い若者は預貯金へ戻り、投資参加率が低下したという分析も含まれた。株式投資の拡大が、若者内部の新たな資産格差につながっているという見方だ。 ◆ 分散投資・政策商品・住宅はしごの回復が課題に挙げられる ...

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[美術豆知識] パオロ・ウッチェロ

15世紀フィレンツェの絵画に、数学的な空間が与えられた。 「サン・ロマーノの戦い」は、装飾性と科学の境界を切り開いた。 パオロ・ウッチェロの『サン・ロマーノの戦い』は、騎兵や槍、甲冑を秩序立てて配置し、戦闘場面の中に奥行きと空間感を生み出している。 パオロ・ウッチェロは、15世紀ルネサンス絵画において遠近法を執拗に探求したフィレンツェの画家だ。平坦な画面に奥行きと距離を生み出す方法を研究した。中世末の装飾絵画とルネサンスの数学的な空間感覚が、彼の作品の中で出会った。 パオロ・ウッチェロの本名はパオロ・ディ・ドーノである。1397年にフィレンツェで生まれ、1475年に世を去った。「ウッチェロ」はイタリア語で「鳥」を意味する。鳥の絵を好んで描いたという伝承から付いたあだ名とされる。美術史では本名よりもウッチェロの名で広く知られている。 ウッチェロが活動した15世紀のフィレンツェは、ルネサンス美術の中心地だった。建築家、彫刻家、画家たちは、人間と自然を新しい方法で見ようとしていた。画面は宗教的象徴を載せる平面にとどまらなかった。都市、建築、人物、物を、実際に目の前にある空間のように構成しようとする試みが続いた。 遠近法は、その変化の核心だった。遠近法は、近い物を大きく、遠い物を小さく描いて距離感を生み出す技法だ。線が一つの点に集まると、画面の中に深さが生まれる。ルネサンスの画家たちは、消失点と比率を用いて、目に見える世界を体系的に移そうとした。 ウッチェロは遠近法を、絵画の中心的な課題とした。彼は人物の表情や宗教的感動よりも、空間の秩序に大きな関心を寄せた。槍、甲冑、馬、人体を計算された方向に配置した。物は場面を飾る要素ではなく、画面の奥行きをつくる装置となった。 代表作は『サン・ロマーノの戦い』だ。この作品は、1432年にフィレンツェとシエナの間で行われた戦闘を題材にしている。ウッチェロは戦いの混乱をそのまま描写しなかった。武器と馬、兵士を規則的に並べ、戦場を計算された舞台のように構成した。 『サン・ロマーノの戦い』は3点の連作として伝えられている。現在、それぞれロンドンのナショナル・ギャラリー、フィレンツェのウフィツィ美術館、パリのルーヴル美術館に所蔵されている。3作品は同じ戦闘を扱いながら、異なる場面を示している。戦争画であると同時に、遠近法の実験を含んだ絵画でもある。 画面の前景には、折れた槍や武器が置かれている。槍は床に引かれた線のように見える。馬と騎兵は激しく動く。しかし全体の構図は落ち着いて整えられている。戦闘の速度よりも、物の向きと配置がより強く立ち上がる。 ウッチェロの絵では、短縮法も重要だ。短縮法は、物体が観る者の方へ向かうとき、実際の長さより短く見えるように描く方法である。馬の胴体、倒れた兵士、長槍が、画面の内側へ入っていく感覚をつくり出す。ウッチェロは短縮法によって、平面上に立体的な場面を築いた。 パオロ・ウッチェロの『ジョン・ホークウッド騎馬像』(1436年)、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のフレスコ画。数学的遠近法と短縮法を用いて、平面の壁に立体的な騎馬彫刻の幻影を完璧に生み出したウッチェロの傑作である。華やかな装飾と幾何学的秩序が調和している。 彼のもう一つの重要な作品は『ジョン・ホークウッド騎馬像』だ。フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂内にあるフレスコ画である。ジョン・ホークウッドはイギリス出身の傭兵隊長だ。フィレンツェ共和国は、彼を記念するため1436年にウッチェロへ騎馬像形式の絵画を依頼した。 『ジョン・ホークウッド騎馬像』は実際の彫刻ではない。壁に描かれた絵である。しかし鑑賞者は、馬と騎手が壁面の上に置かれた彫刻のように見えると感じる。ウッチェロは絵画によって彫刻の効果を生み出した。壁画は、遠近法が装飾ではなく、空間を欺く技術になりうることを示している。 ウッチェロの芸術は、国際ゴシック様式とルネサンス様式の間に位置する。国際ゴシックは、繊細な線、華やかな色、装飾的表現を重視した後期中世の様式である。ウッチェロの作品には、華やかな甲冑や馬の装飾、装飾的な輪郭線が残っている。同時に、人物と物は幾何学的秩序の中に配置されている。 そのためウッチェロは、ルネサンスの完成形の画家というより、転換期の実験家と評価される。彼の人物は、時に硬く不自然だ。馬や兵士は、実際の戦場よりも舞台装置のように見える。しかし、そのぎこちなさの中に重要な変化が宿っている。絵画が目の前の世界を計算し、再構成し始めた瞬間である。 遠近法は、その後のルネサンス美術の基本言語となった。ピエロ・デッラ・フランチェスカ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロのような画家たちは、空間と人体をより精緻に扱った。ウッチェロはそれより先に、画面が数学的な構造を持ちうることを示した。彼の執拗な実験は、ルネサンス絵画の基盤を広げた。 パオロ・ウッチェロを理解する鍵は「空間」だ。彼は美しい場面を描いた画家にとどまらない。目に見える世界を、どのような秩序で画面に移しうるのかを問い続けた画家である。『サン・ロマーノの戦い』の槍と馬、兵士と甲冑は、戦争の道具であると同時に、遠近法の道具でもある。 パオロ・ウッチェロは、絵画が感覚の再現を超えて、知的構成の領域へ入っていく過程を示している。装飾と数学、中世とルネサンスが、彼の絵の中で重なり合う。遠近法への執拗なこだわりは、ウッチェロを15世紀フィレンツェ美術の独特な人物として残した。

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ビットコインを動かすクラリティ法とは何か…年金基金の財布を開く鍵

ビットコイン価格を動かす変数は、いまや半減期でも金利でもない。ワシントンの連邦議会だ。 10日、グローバル仮想資産市況プラットフォームのコインゲッコーによると、この日午前9時時点でビットコインは6万3,183ドルで取引された。前日には6万2,000ドル台まで下落していたが、再び6万3,000ドルを回復した。 仮想資産専門メディアのコインデスクによると、米上院はデジタル資産市場の構造法案であるクラリティ法の新たな草案を早ければ来週にも公開する見通しだ。法案支持者は今月末の上院本会議での議論を目標に協議を続けていると伝えられている。草案公開が目前だという報道が投資心理を回復させたとの分析が出ている。 ◆ 証券か、商品か、15年にわたるグレーゾーンの整理 クラリティ法の正式名称は「デジタル資産市場明確化法案」だ。名前の通り、核心は「明確さ」にある。答えようとしている問いはひとつだ。ビットコインやイーサリアムのような仮想資産は、株式のような証券なのか、それとも金や原油のような商品なのか。 この分類が重要なのは、監督機関と規制が丸ごと変わるからだ。証券ならSECが、商品ならCFTCが担当する。これまで米国は明確な基準なしに、問題が起きた後に制裁する事後規制方式で市場を統制してきた。 企業はどのルールを守るべきか分からず、投資家はある日、自らの保有資産が未登録証券と見なされるリスクを抱えていた。クラリティ法は、この方式を事前分類中心へ転換しようとする試みだ。分散化の度合いが高いビットコインとイーサリアムは、証券ではなくデジタル商品として定着する可能性が高いとの見方が出ている。 これまでの経緯も、この法案の重みを示している。法案は昨年7月に下院を通過した。今年5月には上院銀行委員会が賛成15票、反対9票で可決した。共和党の全員に加え、民主党のルーベン・ガジェゴ、アンジェラ・アルスブルックス両議員が賛成に回った結果だった。残る手続きは、農業委員会の法案との統合、上院本会議での採決、下院での再採決だ。 ◆ 年金基金の財布を開かせる鍵 市場がこの法案に注目する理由は、機関マネーにある。ブラックロックのような資産運用会社はすでにビットコインを直接購入できる。一方で、米国の年金基金はなお慎重だ。一部が上場投資信託(ETF)を通じて間接保有する程度にとどまっている。収益性よりも、法的性質が不明確な資産を受託者責任の下でどう説明するかという問題が足かせとなってきた。 ハンヤン女子大のオム・ムンソン税務会計学科教授は、クラリティ法が年金基金にとってビットコインを「買える資産」を超え、「保有しても法的に説明可能な資産」と認識させる制度的転換点になると分析した。NH投資証券のホン・ソンウク研究員は、法案の恩恵を受ける分野としてトークン化とステーブルコインを挙げ、ロビンフッド、コインベース、サークルなどを関連上場企業として指摘した。 期待ばかりではない。5月の銀行委員会通過直後、市場では機関資金流入という構造的変化が始まったとみる見方と、期待感に依存した流動性相場にとどまる可能性があるという見方が分かれた。 規制が整い参入障壁が下がることと、実際に資金が入ることは別問題だという指摘もある。業界内には反対もある。ブライアン・アームストロング・コインベースCEOは、ステーブルコインの利子禁止条項などを問題視し、「悪い法案なら、法案がない方がましだ」として既存の草案を公然と批判したことがある。 ◆ 윤리条項にかかる60票 最大の争点は倫理条項だ。民主党は、大統領を含む高位公職者の仮想資産事業における利益相反を防ぐ条項を求めている。トランプ大統領一家が仮想資産事業を展開してきた事情と重なる要求だ。この条項が外れれば、最終法案に賛成しにくいとする民主党議員は少なくない。 数字が問題だ。上院でフィリバスターを阻止して法案を通過させるには60票が必要だ。共和党の議席だけでは足りず、民主党の協力が不可欠となる。エリザベス・ウォーレン議員らは、SECの権限縮小が投資家保護の弱体化につながるとし、反対の立場を維持してきた。倫理条項と投資家保護の仕組みをどこまで反映させるかが、来週の草案に盛り込まれる核心となる。 投資家に残る判断基準は明快だ。いま相場を動かしている材料は技術ではなく、立法日程だ。草案の内容、今月末の本会議での議論、下院での再採決と、節目ごとに価格は揺れうる。来週公開される草案は、7月中の処理可能性を占う最初の試金石であり、6万ドル台のビットコインがどちらへ向かうかを示す予告編でもある。

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