主なポイント
▶ OpenAIはアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、エネルギー、投資、政府分野における4件の契約を締結した。
▶ アブダビ・メディアオフィスは2日(現地時間)、サム・アルトマンOpenAI最高経営責任者(CEO)がアブダビの皇太子、ハーリド・ビン・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏と会談した際に契約が締結されたと発表した。
▶ 国営石油会社ADNOCは、エネルギー企業として初めてOpenAIの最新技術を導入する。政府系ファンドのムバダラは、投資分析やリスク評価にAIを活用する。

OpenAIがアブダビで4件の契約に署名した。アブダビ・メディアオフィスは2日(現地時間)、サム・アルトマンOpenAI最高経営責任者(CEO)が、アブダビの皇太子兼執行評議会議長のハーリド・ビン・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏と会談し、エネルギー・投資・政府分野でOpenAIのモデルを活用する契約が締結されたと発表した。
アルトマンCEOは声明で、「アブダビとUAEは、AIの恩恵がすべての人に行き渡るよう、公共・民間の両分野で大胆に世界基準を打ち立てている。安全性、アクセスのしやすさ、責任あるイノベーションという共通の約束のもと、UAEの目標を支援できることを誇りに思う」と述べた。
OpenAIは現在、UAEの投資家が主導する新たな資金調達をまとめている。
◆ 石油会社と政府系ファンドが顧客に
最も大きな企業名は、アブダビ国営石油会社(ADNOC)だ。ADNOCは、G42傘下のインセプション42とともに、OpenAIの最新技術を導入することを決めた。エネルギー企業としては初めてとなる。
ADNOCによると、UAE国内に設置したサーバー上でGPTモデルを稼働させ、現場運営、投資、取引に関する意思決定を一元化する。政府系ファンドのムバダラは、インセプション42、OpenAIとともに、投資先の選定やリスク評価にAIを活用する。両契約の金額は明らかにされていない。
アブダビ政府はOpenAIと、政府の規則や政策をAIが読み取れる形式に変換する事業を開始した。許可証や証明書の申請があった際、AIが規則に適合しているかを事前に照合し、その後、公務員が判断を下す仕組みだ。
AIによる判断は、根拠となった条文までさかのぼって確認できるようにした。政府支援局がこの事業を担当しており、アブダビ農業食品安全庁による食品輸入審査ですでに試験運用されている。計算処理はUAE国内のデータセンターにあるGPUで行う。
アブダビは、世界初の「AIネイティブ政府」を目標に掲げている。インセプション42とOpenAIは別途、5年間の契約を結び、UAEの政府機関、企業、学校にOpenAIのモデルを導入するとともに、大規模組織向けのAI製品を共同開発する。
◆ 契約に続く資金調達
CNBCによると、OpenAIはUAEの投資家が主導する、最大200億ドル(約2兆9,000億円)規模の新たな資金調達を進めている。
10月には、企業価値を1兆2,500億ドルと評価し、最大300億ドルを調達するとの報道があった。候補として、MGXなどのUAEファンドやコートゥー、ブラックロックの名前が挙がっていた。OpenAIは3月、企業価値8,520億ドルの評価を受け、1,220億ドルを調達した。
中東資本は両社に投資している。アブダビの投資会社MGXは3月、OpenAIの1,220億ドルの資金調達ラウンドと、2月のAnthropicによる300億ドルの資金調達ラウンドを共同で主導した。計算資源への投資が膨らむにつれ、両社はさらに大きな資金を求め、その答えを中東に見いだした。インフラ面でも関係が重なる。
G42は、昨年5月に発表した容量1GWの「スターゲートUAE」データセンターをアブダビに建設している。ADNOCや政府との契約で、計算処理をUAE国内のGPUで行うと明記したことは、このデータセンターの稼働を前もって支えるものでもある。
◆ 韓国はまだ
中東はここ数年、AI拠点として台頭してきた。米国の大手テクノロジー企業が相次いで大規模なデータセンター契約を結んでいる。一方、地域紛争が続くなか、その魅力が試されているとの見方もある。そうした状況のなか、OpenAIは今回の契約により、UAEで顧客、投資家、データセンターを一体化させた。
韓国では昨年10月、OpenAIとサムスン、SKがスターゲート協力に関する意向書を交わしたものの、データセンターの用地や規模はまだ発表されていない。
同じ時期にUAEはデータセンターを建設し、国営企業や政府にモデルを導入し、投資も実行した。OpenAIの資金調達の締め切り時期や最終的な調達額、UAE投資家の出資額は公表されていない。