米国トランプ政権は、主要20カ国・地域(G20)に対し、人工知能(AI)を強く規制しない「規制緩和(ハンズオフ)」路線を説得しようとしている。会合は1日(現地時間)に米ノースカロライナで始まり、2日まで続く。
米国は各国に「カロライナ原則」への署名を求めている。AIの基礎研究への投資、商業的機会の拡大、そして本当に必要な「新しい論点」に限って規制を設けようという内容だ。
大義名分は対中競争だ。米国は「革新のスピードを維持してこそ中国に勝てる」として、規制が足かせになってはならないと主張している。
会合にはサム・アルトマンOpenAI最高経営責任者(CEO)とジェンスン・ファンNVIDIA CEOが直接出席して発言する。イーロン・マスクはオンラインで参加し、韓国をはじめ各国の通商相も出席する。
この路線は、強力な規制を盛り込んだ欧州連合(EU)の「AI法」と真正面から衝突する。国連はさらに強い安全装置を求めてきた。G20加盟国である韓国も、選択を迫られることになる。
米国が人工知能(AI)の規制をめぐって国際舞台で「手綱を緩めよう」という声を上げ始めた。トランプ政権は主要20カ国・地域(G20)に対し、AIを厳しく規制しないよう説得に乗り出している。ロイター通信は、トランプ政権のホワイトハウス関係者の話としてこの方針を報じた。
関連会議は1日(現地時間)に米ノースカロライナで幕を開け、2日まで続く。12月に米国が主催するG20首脳会議を前に開かれる事前の閣僚級会合だ。
◆「規制緩和」とは何か
まず用語を整理しよう。米国が掲げる「ハンズオフ(hands-off)」は、文字どおり政府が手を出さないという意味だ。AI技術に政府が細かなルールを多く作るのではなく、企業が自由に開発できるようにしようという考え方である。規制を最小限の軽いものにとどめるという意味で、「ライトタッチ」とも呼ばれる。
米国はこの路線を文書として残そうとしている。会議開催地の名を取った「カロライナ原則(Carolina Principles)」に各国が署名するよう求めた。原則の骨子は3つだ。AIの基礎研究に投資し、企業の商業機会を広げ、規制は本当に必要な「新しい論点」が生じた時だけ設ける、というものだ。既存法で対応できる問題なら、あえてAI専用の新たな規制を作る必要はないという考えが込められている。
ホワイトハウスのマイケル・クラチオス技術補佐官は「政策立案者があらゆる革新を個別に切り分けて見る必要はなく、新たに登場した技術ごとに前例のない政策問題として扱うべきではない」と述べた。今回の革新閣僚会議は、ハワード・ラトニック商務長官とクラチオス補佐官が共同主宰する。
◆大義名分は「中国との競争」
米国が規制緩和を押し進める理由は、中国との競争にある。AIの主導権をめぐって米中が対立する中、規制が自国企業の足かせになれば中国に遅れを取るという論理だ。トランプ政権は「革新が速い速度で進み続けてこそ、米国はAIで中国に勝てる」とし、規制緩和こそがその速度を守る道だとみている。
今回の会合にAI業界の大物が参加するのもそのためだ。OpenAIのサム・アルトマンCEOとNVIDIAのジェンスン・ファンCEOが、2日目の2日に直接登壇し、ラトニック商務長官と対談する。
イーロン・マスクは初日にオンラインで発言する。会議はノースカロライナ州チャペルヒルのキャロライナンで開かれ、初日は技術・デジタル担当閣僚、2日目は通商・商務担当閣僚の議論に分かれる。日本と韓国、メキシコ、ポーランド、インド、サウジアラビアなどの通商相が参加する。
◆真逆に向かう欧州
問題は、世界が一方向に進んでいないことだ。米国の規制緩和路線は欧州連合(EU)と真っ向からぶつかる。EUは昨年、世界初の包括的AI規制法である「AI法(AI Act)」を制定し、危険なAIの利用を強く規制している。最近では、ChatGPTのようなサービスも強力なデジタル規制網に組み込んだ。
国際社会の空気も米国とは異なる。国連は事務総長自らが、AIにはより強い安全装置が必要だと警告してきた。AIが雇用、偽情報、人権に及ぼす影響への懸念が背景にある。規制を緩めて革新の速度を高めようとする米国と、安全装置を整えて副作用を防ごうとする欧州・国連が、鋭く対立している構図だ。
どちらが正しいかを断定するのはまだ早い。規制を緩めれば技術は速く成長するが、副作用をふるい落とす装置は弱くなる。逆に規制を強めれば安全は確保できるが、革新が鈍る可能性がある。AIをどう統制するかについて、世界はまだ答えを見つけられていない。
◆韓国はどこに立つのか
今回の論争は韓国にとっても他人事ではない。韓国はG20加盟国だ。米国が「カロライナ原則」への署名を求めれば、賛否を判断しなければならない立場にある。
とりわけ韓国は昨年、いわゆる「AI基本法」を制定し、施行を控えている。AIのリスクを管理する規定を盛り込んだ法律だ。米国の規制緩和圧力と、自国が設けた規制との間で、均衡点を見つけなければならない。通商関係を考えれば米国の要求を全面的に無視するのは難しく、かといってすでに作った法律の方向性を覆すのも容易ではない。
12月のG20首脳会議まで、AI規制をめぐる各国の駆け引きは続く見通しだ。規制を緩めるのか、引き締めるのか。その選択が、今後のAI産業の地図と各国の主導権を左右する分岐点として浮上している。