現代自動車、米ネバダ州リチウム鉱山に参画…バッテリー「脱中国」を加速

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By Global Team

電気自動車をつくる企業が、いまや地中の鉱物まで直接手を伸ばしている。現代自動車グループが米国のリチウム鉱山開発に参画し、電気自動車用バッテリー原料の「脱中国」戦略を加速させている。

現代エンジニアリングと韓国海外インフラ都市開発支援公社(KIND)は現地時間23日、豪州の鉱山企業アイオニアと意向表明書(LOI)に署名した。米ネバダ州のリチウム・ホウ素鉱山「ライオライト・リッジ」を共同開発するという約束だ。LOI自体に法的拘束力はない。3社は来月、了解覚書(MOU)を結び協力を正式化する計画だ。

事業費は約16億ドル(約2200億円)に達する。今年下半期に最終投資決定(FID)を経て、2029年の初の商業生産を目標にしている。年間生産目標はバッテリー用水酸化リチウム2万7800トン。会社側は、電気自動車約37万台を動かせる量だと説明している。発表当日、アイオニア株は一時29%近く急騰した。

米ネバダ州でリチウム鉱山開発が進められるなか、現地の資源確保競争も激しくなっている。
米ネバダ州でリチウム鉱山開発が進められるなか、現地の資源確保競争も激しくなっている。

リチウムは電気自動車バッテリーの核心原料だ。バッテリーの中で電気を蓄え、再び放出する役割を担う。いわゆる「白い石油」と呼ばれる。車1台を動かす力は、実質的にこの鉱物から生まれる。

問題は、リチウムの採掘と加工を中国が事実上押さえている点だ。鉱物を地中から掘り出すことよりも、バッテリーに使えるように「精錬」する段階で、中国依存が特に高い。昨年、中国が一部の重要鉱物の輸出を絞った際、西側の供給網が揺らいだ経験は、米国と欧州の警戒を強めた。原料の首根っこを一国が握っている不安である。

ライオライト・リッジが特別とされる理由はここにある。ネバダ砂漠のこの鉱山は、北米で唯一、リチウムとホウ素を一か所に抱える埋蔵地だ。ホウ素はガラス、セラミック、農業用肥料など幅広く使われる産業鉱物である。

米西部ネバダ州は、リチウムとホウ素がともに埋蔵されたライオライト・リッジ鉱山がある地域だ。
米西部ネバダ州は、リチウムとホウ素がともに埋蔵されたライオライト・リッジ鉱山がある地域だ。

1つの鉱山で2つの鉱物を同時に採掘できれば、その分だけ収益構造が安定する。採掘した原鉱を他国に送らず、現地でそのままバッテリー用水酸化リチウムに加工できる点も強みだ。テスラのネバダ州バッテリー工場から車で3時間余りの距離、いわゆる「リチウムベルト」の中心に位置する。

この鉱山は一朝一夕に現れたものではない。アイオニアは2016年からここに2億2000万ドル(約300億円)超を投じ、設計の70%以上を終えた状態だ。稼働すれば、現地だけで275~300人の雇用が生まれる。

現代エンジニアリングの役割は明確だ。鉱山と精錬工場の設計・調達・建設(EPC)を担当する。大型の化学・エネルギープラントを予定通り、予算内で建設してきた経験が武器だ。KINDは事業に必要な資金を供給する金融面を担う。

ここで現代自動車グループの狙いが見えてくる。建設を担う代わりに、将来鉱山から出てくる米国産リチウムを優先的に確保する交渉力を握るという計算だ。鉱山を丸ごと買収するのではなく、「建てる力」をてこに原料を手に入れる方式である。資金を投じて資源を買う資源国型の戦略とは異なる。

電気自動車バッテリーの核心原料であるリチウム。米国は中国産重要鉱物への依存を減らすため、供給網規制を強化している。
電気自動車バッテリーの核心原料であるリチウム。米国は中国産重要鉱物への依存を減らすため、供給網規制を強化している。

現代自動車の算盤を理解するには、米国の規制変化を押さえる必要がある。いわゆるインフレ抑制法(IRA)を思い浮かべがちだが、状況はすでに一度ひっくり返っている。

米国は昨年9月末、電気自動車を購入する消費者に支給していた最大7500ドル(約100万円)の購入補助金を廃止した。トランプ政権が押し進めた新予算法により、終了時期が7年前倒しされた。電気自動車を安く買わせる「アメ」が消えた形だ。

しかし、バッテリーを「製造する」側への優遇は残った。米国内でバッテリーセルを生産する企業は、現在も生産量に応じて減税を受けられる。ただし条件がある。中国などの「懸念国」の手を経た鉱物が入れば、この優遇は受けられない。海外懸念機関(FEOC)規定である。消費者補助は減らした一方で、中国産原料を選別する網はさらに緻密になった。

現代自動車は米ジョージア州に電気自動車専用工場「メタプラント」を建設し、バッテリーも現地でともにつくっている。このバッテリーに中国産リチウムが混じれば、製造段階の税制優遇が消える。米国の地で採れたリチウムを確保することが、選択ではなく生存の問題になった背景である。

国際舞台の流れも同じ方向を向いている。主要7カ国(G7)は今月、フランス・エビアンで重要鉱物の対中依存を引き下げることで一致した。希土類と永久磁石は2030年までに特定国依存度を60%未満に下げると明記した。バッテリーに使われるリチウムとニッケルは、新たな供給網協力の最初の試験品目に指定された。西側全体が「中国外し」へ舵を切ったのだ。

韓国企業の動きも加速している。高麗亜鉛は米ナッシュビル近郊に約74億ドル(約1兆円)規模の重要鉱物精錬所を建設する構想を打ち出した。現代自動車グループの今回の参画は、この巨大な潮流の一場面として読める。

現代自動車グループは、米ネバダ州リチウム鉱山開発への協力を通じて、鉱山・精錬・素材・バッテリー・完成車へと続く北米電気自動車サプライチェーンの構築を推進する。画像は電気自動車バッテリーの概念図。
現代自動車グループは、米ネバダ州リチウム鉱山開発への協力を通じて、鉱山・精錬・素材・バッテリー・完成車へと続く北米電気自動車サプライチェーンの構築を推進する。画像は電気自動車バッテリーの概念図。

ライオライト・リッジにはすでに韓国企業の足跡がある。素材企業エコプロイノベーションが数年前からアイオニアと手を組み、リチウム粘土から水酸化リチウムを抽出する技術を共同研究してきた。ここに現代エンジニアリングの建設力と現代自動車の完成車事業が重なる。

断片をつなぎ合わせると、全体像が見えてくる。鉱山でリチウムを採掘し、現地で精錬し、韓国系素材企業がバッテリー材料に加工し、米国内の韓国バッテリー工場がセルをつくり、現代自動車の電気自動車に搭載する。つまり、「鉱山→精錬→素材→バッテリー→完成車」が米国領内で一本につながることになる。業界が今回の参画を、韓国系電気自動車サプライチェーンが米国に根を下ろす兆しと見る理由である。

現代エンジニアリングのイ・スンホン常務は「許認可と建設準備、長期供給の安定性など、最も重要な物差しで見たとき、ライオライト・リッジは他の鉱物事業とは格が違う」とし、「信頼できる重要鉱物供給網を構築しようとするグループの意志を込めた決定だ」と述べた。

乗り越えるべきハードルも明確だ。この鉱山は環境問題を抱えている。現地の環境団体が、絶滅危惧種の野生植物や固有魚類の生息地が脅かされるとして訴訟を起こしている。事業日程を遅らせる火種が残っているということだ。

リチウム価格の変動も負担だ。以前、この鉱山への4億9000万ドル(約680億円)の投資を約束していた南アフリカの鉱山企業は、リチウム価格が急落すると撤退した。アイオニアが新たな韓国パートナーを探し始めた背景でもある。今回の協約が、まだ法的拘束力のない最初の一歩にすぎない点も忘れてはならない。来月のMOU、下半期の最終投資決定といった関門が続く。

それでも方向性は明確だ。電気自動車時代の競争は、もはや誰が良い車をつくるかだけで終わらない。地中の鉱物から道路上の完成車まで、途切れない鎖を誰が握るのかという戦いへと移っている。現代自動車グループが砂漠の鉱山にともに鍬を入れる決断は、その長い鎖の最前線を米国の地にしっかりと打ち込もうとする布石と読める。