マヌスAI、メタに売却された会社を買い戻し…史上初の「セルフ買収」

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By Global Team

すでに完了した企業買収が5カ月後にひっくり返される事態が起きている。米メタが昨年12月に買収した人工知能企業マヌス(Manus AI)がその当事者だ。

21日(現地時間)、経済専門メディアのブルームバーグによると、マヌスはメタに渡った自社を再び買い戻すため、最大10億ドル、韓国ウォンで約1兆5000億ウォンに達する資金調達を検討している。

状況そのものが珍しい。買収に失敗したのではなく、きちんと完了した取引を外部圧力によって原点に戻さざるを得ない立場に置かれているのだ。取引を破棄せよと命じたのは中国政府だった。マヌスはその命令に従いつつ、会社をメタではなく自らの手に取り戻す道を選んだ。

◆ 5カ月前に終わった取引を破棄せよという命令

メタは昨年12月、マヌスを約20億ドル、ウォンで約3兆ウォンで買収した。マヌスは、利用者が比較的大きな仕事をひとつ投げると、自ら複数の段階を処理するいわゆる「エージェント型AI」を開発する企業だ。

資料を探し、整理し、文書を作成し、コードを書く作業まで、人の介入なしに連続してこなす。ChatGPTのような対話型AIより一歩進んだ形だ。メタはこの技術を自社AIに組み込み、グーグルやオープンAIとの競争で優位に立つ足がかりにしようとしていた。

問題はマヌスのルーツにあった。この会社はもともと中国で始まった。中国のエンジニアたちが2022年に立ち上げた企業だ。

昨年、米国主導の投資調達を経て本社と中核人材をシンガポールへ移し、中国国内の人員の 상당数を整理した。運営法人もシンガポール登録の「バタフライ・エフェクト」に切り替えた。メタが買収した時点で、マヌスは書類上は明確にシンガポール企業だった。

中国国家発展改革委員会(NDRC)は4月27日、メタに対しこの取引を元に戻すよう命じた。核心的な理由は2つだ。▲中国の投資関連規定に違反した可能性、そして▲戦略技術が海外へ流出することへの懸念である。

発改委は、マヌスがシンガポール企業に変わったとしても、技術の出発点が中国であり、中核人材が過去に中国で働いていた以上、依然として中国の投資審査対象に入るとみなした。

◆ 買い戻しに1兆5000億ウォン、価格はむしろ上がった

ブルームバーグが報じたマヌスの対応は、単なる取引の取り消しではない。外部投資家から最大10億ドルを新たに調達し、メタが保有する持分を買い取る構想だ。

資金は3つの用途に使われる。メタ持分の取得、両社のデータと組織を分離する作業、そして独立したマヌスを今後1年間運営するための資金である。

興味深いのは価格だ。新たな資金調達が成立すれば、マヌスの企業価値はメタが昨年12月に支払った20億ドルを上回ることになる。取引を巻き戻す作業が、実質的には企業価値をさらに押し上げる財務取引に変わるわけだ。

その自信の背景には業績がある。マヌスは初の汎用AIエージェントを発表してから8カ月で、年間換算売上高1億ドルを突破した。

従業員約100人規模の新興企業が、短期間で成し遂げた成果だ。昨年4月のベンチマーク主導の投資ラウンドで評価された企業価値は5億ドルだった。8カ月後のメタによる買収額は、その4倍に達した。

◆ 「シンガポールに移したからといって安心できない」

今回の件が及ぼす波紋はマヌス1社にとどまらない。発改委の決定は、中国が投資審査の刃をシンガポール本社の企業にまで向けた、これまでで最も明確な例とされる。中国にルーツを持つ技術を有する企業であれば、現在どの国に法人を置いていようと中国の審査対象になり得るというシグナルだ。

米法律事務所オメルベニー・アンド・マイヤーズ(O’Melveny)は法的分析で、この決定が重要な先例だと指摘した。中国に起源を持つ企業を米国側が買収する取引なら、その会社がどこに登記されていようと今回の事例を重く受け止めるべきだという。

国境をまたぐ投資を扱う弁護士たちに向けたメッセージは明確だ。本社をシンガポールへ移すだけでは、中国の投資審査リスクを完全には取り除けないということだ。

この一連の出来事は、米中がAI覇権をめぐって真正面からぶつかる流れの上にある。ワシントンは対中投資規制と半導体輸出統制を強化してきた一方、北京は自国AI技術の自立を繰り返し強調している。マヌス買収の頓挫は、その衝突のど真ん中で起きた事件だ。

マヌスの立場から見れば、今回の資金調達は、独立してもなおしっかり立つための選択だ。シンガポールの独立企業として生き残りつつ、激しいエージェント型AI市場で耐え抜くための資金を確保する布石である。

ちょうど同じ週に、オープンAIはシンガポールに2億3500万ドルを投じた応用AI研究所の設立計画を発表した。シンガポールは、西側陣営と近く、かつAI主権を重視する企業が集まるアジア太平洋の拠点へと躍進している。

ただし、まだ確定したことはない。マヌスは1兆5000億ウォン規模の資金調達を誰と協議しているのか、いつ完了させるのかを明らかにしていない。買収頓挫という政治的判断は終わったが、それを資金面で解決する作業は、まだ最初のシグナルが出たばかりだ。

次の分岐点は、マヌスによる正式な資金調達発表になるのか、それともメタが取引清算の具体的条件を公表する側になるのかだ。中国が定めた期限内に、どちらが先に姿を見せるかが注目点となる。