[解説]ジェンスン・ファンが目を付けたセマングムAIバレー、なぜ首都圏ではないのか

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By Global Team

エヌビディアは現代自動車とともにセマングムのデータセンター協力を検討しており、「韓国のAIバレー」を宣言した。

首都圏の電力網逼迫と再生可能エネルギー条件が立地を押し出し、成否は送電網にかかっている。

エヌビディア、現代自動車とセマングムデータセンター協力を検討(写真=ソリューションニュース)
エヌビディア、現代自動車とセマングムデータセンター協力を検討(写真=ソリューションニュース)

人工知能(AI)半導体世界1位企業のエヌビディアが、韓国に「AIファクトリー」を建設する案を検討している。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は8日、鄭義宣(チョン・ウィソン)現代自動車グループ会長と会い、全北・セマングムのデータセンター建設に参加する意向を示した。ファンCEOはこの場で、セマングムを米シリコンバレーになぞらえ「韓国のAIバレー」と呼んだ。

会談はソウル・良才洞の現代自動車グループ社屋で行われた。鄭会長がセマングム事業への参加を提案し、ファンCEOが応じる形だった。

現代自動車グループはすでに2月、政府・全北特別自治道と協約を結び、セマングムの約34万坪の敷地に9兆ウォンを投資して、ロボット・AI・水素・太陽光施設を建設することにした。エヌビディアが加われば、この敷地は自動運転とロボット研究を支える核心インフラとなる。

注目の焦点は一つに集まる。エヌビディアは、企業と人材が密集するソウル首都圏ではなく、なぜセマングムを選んだのか。答えは「AIファクトリー」という概念と、韓国の電力網の現実にある。

AIファクトリー、データセンターを超えた「AI生産基地」

エヌビディア、現代自動車とセマングムデータセンター協力を検討(写真=エヌビディアコリア)
エヌビディア、現代自動車とセマングムデータセンター協力を検討(写真=エヌビディアコリア)

ファンCEOが語ったAIファクトリーは、一般に思い浮かぶデータセンターとは性格が異なる。従来のデータセンターは、情報を保存しやり取りする倉庫に近い。AIファクトリーはそこから一歩進み、AIそのものを生み出す工場に当たる。

たとえば、自動車が工場で部品を組み立てて完成車として出てくるように、AIファクトリーは産業現場の膨大なデータを取り込み、自動運転・ロボット・通信に使うAIモデルへ加工して送り出す。ファンCEOが「自動車が工場で生産されるように、AIもAIファクトリーで生産されるべきだ」と述べた背景だ。

彼が強調した別の表現も同じ文脈にある。「人間はクラウドデータセンターを必要とし、ロボットはAIファクトリーを必要とする。」ロボットが自律的に判断するには、その頭脳に当たるAIを継続的に学習させる工場が必要だという意味だ。

この工場は莫大な電力を消費する。数万個のAI半導体が24時間稼働し、熱を発する。電力を安定的に、しかもできるだけ安く確保できるかが立地を分ける核心変数になる。ちょうどこの点で首都圏が壁となる。

首都圏の電力網逼迫がセマングムを引き寄せた

国内のデータセンターの60%以上が首都圏に集中している。企業・人材・通信網がいずれも近いからだ。

問題は電気だ。データセンターが韓国電力に申請した契約電力は、2020年以前の60メガワット(MW)水準から2023年には3,091MWへと、3年で50倍以上に増えた。首都圏の送配電網はすでに限界に達している。

韓国電力は、首都圏で新たな大型施設を短期間で受け入れるのは難しいと案内している。政府は2024年6月、分散エネルギー活性化特別法を施行し、10MW以上を使うデータセンターに対して電力系統への影響を事前評価させるようにした。首都圏での新設に事実上の制限をかけた措置だ。

首都圏集中は安全問題でもある。2022年の板橋データセンター火災でカカオのサービスが停止した事態が代表例だ。一か所に集中したインフラは災害に脆弱だ。政府がデータセンターの地方分散を促す背景には、電力不足とリスク分散という二つの軸がある。

エヌビディア、現代自動車とセマングムデータセンター協力を検討(写真=エヌビディアコリア)
エヌビディア、現代自動車とセマングムデータセンター協力を検討(写真=エヌビディアコリア)

セマングムはこの空白を正確に埋める。土地が広く安い。総面積409平方キロメートルに及ぶ干拓地には、大規模施設を展開する平地が十分にある。

電力も支える。セマングムには2030年までに7GW級の再生可能エネルギー団地が整備される。太陽光と風力でつくった電気を現地で直接使う、いわゆる「地産地消」構造が可能だ。

企業が使う電力を100%再生可能エネルギーで満たすRE100の達成にも有利だ。グローバル企業は炭素規制のため、再エネ調達をますます厳しく見ている。湖南圏は発電量が需要を大きく上回り、電気が余る地域でもある。余剰電力を大規模需要地であるデータセンターが吸収すれば、系統負担も軽減される。

「AIバレー」構想の成否を左右する条件

ファンCEOがセマングムを「AIバレー」と呼んだのは象徴的だ。シリコンバレーが半導体とソフトウェア企業の集積によって生態系を築いた場所だとすれば、セマングムはAI半導体・データセンター・ロボット・自動運転が一堂に集まる拠点を狙う。長く停滞していた干拓地が、未来産業の試金石へと方向を変えたわけだ。

今回の会談は単発の協力ではない。同日、エヌビディアはSK、LG、現代自動車、ネイバー、斗山など国内5社とAIファクトリー協力計画を相次いで発表した。

これらの企業は、半導体やメモリーなどの核心技術をエヌビディアに供給すると同時に、完成したAIファクトリーの需要先としても役割を担う。供給と需要が一つの束として結び付く構造だ。

構想が現実になるまでには、越えるべき壁が明確だ。再生可能エネルギーが豊富でも、その電気をデータセンターまで安定的に送る送電網が整っていなければならない。

出力が不安定な太陽光と風力だけでは、一瞬も止まってはならないデータセンターを支えきれない。大容量蓄電装置と予備電源を併せて設計する必要がある。

人材と定住環境も課題だ。データセンターとAI研究には高度人材が必要だが、首都圏に比べ地方は人材確保が容易ではない。専門家は、賃貸用データセンターだけを切り離して移すのではなく、企業の研究・本社機能も一緒に移し、人が集まる生態系を作るべきだと指摘する。

規制の予見可能性も支えなければならない。投資規模を左右する電力系統影響評価が正式告示なしに試行運用されている状態は、企業にとって不確実性として作用する。

電力網と人材、制度という三本柱が一体でかみ合ってこそ、セマングムAIバレーは宣言を超えて実体を持つ。エヌビディアの参加意向は出発点にすぎず、その先を埋めるのは結局、韓国の役割だ。