[解説] 半導体は首都圏を離れられるのか…湖南が国家政策のテーブルに載った

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By Global Team

韓国の反導体工場はどこに建てるべきか。長らく答えは首都圏だった。その前提が揺らいでいる。光州と全羅南道を結ぶ湖南が、次世代半導体投資の候補地として政府の政策テーブルに載った。

その兆しと受け止められているのが、李在鎔サムスン電子会長の動きだ。李会長は23日、忠清南道天安事業場を訪れ、高帯域幅メモリー(HBM)のパッケージングラインを点検した。天安は、回路を刻んだウエハーをチップに切り分け、封止し検査する後工程の拠点だ。

つながりはここにある。先に政界を中心に湖南誘致説が取り沙汰される中、まさにこの後工程パッケージング工場が有力候補として浮上していた。

後工程は前工程に比べ、用水と電力の消費が少ない。必要とされるクリーンルームの清浄度基準もより低く、用地選定の際の立地制約が少ない。湖南が候補に浮上した第一の理由が、まさにこの工程の特性にある。

時期も重なる。李会長は近く李大統領と会い、湖南圏の半導体投資について協議すると伝えられている。29日には李大統領が主宰する非首都圏投資会議が開かれる。後工程の現場を自ら確認した動きを、湖南投資の準備と読む見方が出る理由だ。サムスン電子は天安訪問についてHBM供給の点検だとして、拡大解釈を警戒している。

政府の空気も同じ方向を示している。金正官産業通商部長官は22日、政府世宗庁舎での記者団ブリーフィングで、「既存の敷地のほかに新たな半導体団地が必要ではないかと思う」と述べた。ただ、湖南誘致説については「適切な機会に申し上げる」として即答を避けた。政府内では、光州の先端パッケージング、釜山の電力半導体、亀尾の素材・部品をつなぐ「南部圏半導体革新ベルト」の構想が練られている。

では、なぜ首都圏にはこれ以上建てにくいのか。湖南には何があり、何が足りないのか。膨大な電力はどこから持ってくるのか。

◆ 首都圏は土地も電力も限界に達した

首都圏に工場をさらに建てにくい理由は、土地と電力に集約される。ただし、ここでいうのは回路を刻む前工程のメガファブだ。

まず電力だ。竜仁半導体クラスター一つが稼働に使う電力は15ギガワット(GW)に達する。このうち敷地内で自前調達できるのは4.5GWにとどまる。残りは遠方の発電所から長距離送電で持ってこなければならない。

露光・エッチング・成膜装置とクリーンルームの空調が電気を大量に消費する前工程の宿命だ。首都圏全体に広げても事情は同じだ。使う電気がつくる電気を上回る。不足分は非首都圏で補う。

送電線を新たに敷くことが鍵になる。竜仁へ電力を送る新規送電線路は、約1000キロメートル規模で計画された。送電塔が通る地域ごとに住民の反発が強い。密陽、清州、公州で対立が繰り返された。許認可が遅れ、完成が数年単位でずれ込む区間も少なくない。非首都圏に送電塔を立てて首都圏の工場を回す構造そのものが、均衡発展の理念と衝突する。

土地も不足している。竜仁、平沢、華城一帯はすでに開発がかなり進んでいる。新たな敷地を大規模に確保しにくく、地価も高い。インフラが整った首都圏でも、竜仁クラスターは事業計画から最初のファブ稼働まで6年かかる。立地条件が最も良い場所でこの程度だ。

前工程をこれ以上首都圏に押し込むことが難しい。この事実が、後工程を別の地域へ移す余地を生み出している。

◆ 湖南には風と日差し、広い土地がある

竜仁半導体クラスターの造成は総額360兆ウォンが投入される超大型プロジェクトであり、次世代グローバル半導体生産拠点として育成される見通しだ。
竜仁半導体クラスターの造成は総額360兆ウォンが投入される超大型プロジェクトであり、次世代グローバル半導体生産拠点として育成される見通しだ。

湖南が浮上した背景には、首都圏にない資源がある。最大の武器は再生可能エネルギーだ。

湖南は太陽光と洋上風力の潜在量で全国1位だ。許可済みの全国発電事業規模の半分以上がこの地域に集中している。新安沖では8.2GW規模の世界最大級の洋上風力事業が進められている。海南のソラシドは、太陽光団地を2030年までに5.4GWへ拡大する計画を立てている。

この点が重要なのには理由がある。AI時代には、世界的ビッグテックが協力会社全体に再エネ100%使用、すなわちRE100を求める。再生可能エネルギーで動く工場でなければ受注できない。湖南はその条件に最も近い地域だ。

用地と水にも余裕がある。咸平のビッグリーグ産団一帯には100万坪規模の敷地が確保されている。用地価格は首都圏より低く、初期投資の負担を抑えられる。広域上水と地域水源をつなぐ工業用水供給基盤も整った。海に面した立地で、海水淡水化を加える余地もある。

後工程産業の性格も湖南と噛み合う。前工程ファブが莫大な電力と用水、極めて高い清浄度のクリーンルームを必要とするのに対し、パッケージングの負担は小さい。エンジニアより生産人員の比率が高く、地域人材を使いやすい。

光州には世界的パッケージング企業アンコー・テクノロジーがすでに根を下ろしている。光州科学技術院、全南大学、韓国エネルギー工科大学をつなぐ人材育成構想、光州・全南のAIコンピューティングセンター計画も動いている。

要するにこうだ。首都圏から後工程が押し出されるのは、首都圏に電力がないからではない。電力をあまり使わない後工程だからこそ、資源と大義が整った湖南へ移せるのだ。

◆ 再エネだけでは24時間工場を回せない

太陽光と風力の発電設備は拡大しているが、出力の変動性のため、24時間電力を必要とする半導体工場やAIデータセンターの需要を賄うには限界がある。
太陽光と風力の発電設備は拡大しているが、出力の変動性のため、24時間電力を必要とする半導体工場やAIデータセンターの需要を賄うには限界がある。

湖南の再エネカードにも穴はある。太陽も風も一定ではない。半導体工場は1秒の停電にも耐えられない。あわせて挙がるAIデータセンターは、1日24時間電力を消費する。出力が不安定な電源だけでは、こうした需要を賄いにくい。

そこで政府が再び持ち出したのが原発だ。韓国水力原子力の新規原発立地選定評価委員会は17日、新設大型原発2基の候補地として慶尚北道盈徳郡を、国内初の商用小型モジュール炉(SMR)の候補地として釜山・機張郡を選定した。

盈徳には韓国型大型原発APR1400が2基入る。1基あたり1.4GW級で、合計2.8GW規模だ。完成目標は2037~2038年。機張は古里原発に隣接し、運営人員と送電網を備えている点が強みとされた。

方向が変わったともいえる。李在明大統領は就任当初、新規原発に懐疑的だった。電力がすぐに必要なのに、原発は建設に時間がかかるという理由だ。だが、AIと半導体による需要見通しが、その判断を変えた。政府推計では、国内最大電力需要は2025年の100GWから2040年には138GWへ増える。15年で約40%増だ。

SMRは解決策の一つだ。大きな原発を一カ所に建てるのではなく、小型炉を電力需要地の近くへ分散して設置する。産業団地やデータセンターの隣に置く、カスタマイズ型の発電所というわけだ。ただし、古里・新蔚原発が集中する東南圏に施設がさらに加わることによる安全論争と住民同意は、解かなければならない課題として残る。

◆ 弱点は明確だ、それゆえ分業が解決策だ

バラ色の見通しばかりではない。最大の弱点は、まったくの更地から始めることだ。用地造成、基礎工事、骨組みまで、すべてを新たに築かなければならない。電力と用水の供給が期限通りに整わなければ、全体日程が遅れる。

数十年かけて首都圏に根付いた素材・部品・装備の協力会社の生態系も、湖南にはまだない。半導体は、協力会社数千社がリアルタイムで部品を供給する集積産業だ。この生態系を移すよう説得するのは容易ではないと業界は語る。

だからこそ浮上するのが、競争ではなく分業だ。竜仁、平沢、華城、利川は従来通り前工程の生産拠点を担う。光州と全羅南道は後工程パッケージングとAI、再エネ基盤産業団地を新たな成長軸として育てる。「竜仁対湖南」の対立構図ではなく、「首都圏メガクラスター+南部圏イノベーションベルト」で組み立てる図だ。

電力の解決策も、一つの地域に閉じ込めない方が現実的だ。湖南の再エネと嶺南の原発を併用し、それらをつなぐ送電網で補う。湖南で作った電気を運ぶ西海岸海底送電網、いわゆるエネルギー高速道路がその連結役になる。

政府はRE100産業団地特別法と機会発展特区を通じ、税制優遇、電気料金割引、基盤施設支援を検討している。負担の小さい後工程から入り、生態系を段階的に育てる道が合理的だ。人材が定着する居住・教育環境を同時に整えなければ、工場だけがぽつんと残る。

まだ確定した投資はない。企業は引き続き「決まったことはない」と慎重だ。それでも変わった事実が一つある。湖南半導体が、地域の願望を超えて国家政策の議題に上ったという点だ。分散が産業競争力と国土均衡の両方を取り込めるのか。29日の会議のテーブルで、その見通しが示される。