人工知能サーバーの価格が来年から上がる。メモリー半導体価格の急騰に耐えられなくなったエヌビディアが、その上昇分を顧客に転嫁することを決めたためだ。
ブルームバーグ通信は22日(現地時間)、エヌビディアがマイクロソフト、グーグル、オラクルなど主要顧客に対し、来年初めに出荷するシステムから価格を15%以上引き上げると通知したと報じた。次世代チップのベラ・ルービンとグレース・ブラックウェルを搭載したシステムも値上げ対象だ。製品ごとの値上げ幅は、チップ世代とメモリー構成によって異なる。
世界の人工知能半導体市場を事実上独占する企業が、値上げの理由としてメモリーを挙げた。部品1つが完成品の価格表を再び書き換える状況になっている。
値上げ幅は小さくない。エヌビディアの最新AIサーバーは、ラック1台で数十億ウォン台とされる。15%ならラック1台あたり数億ウォンが上乗せされる。数万台を買い入れる大手顧客なら、追加負担は兆ウォン規模に膨らむ。
サーバー価格が上がる理由
AIサーバーの中では、演算チップとメモリーは働き手と資材倉庫の関係にある。エヌビディアのチップが計算を担い、高帯域幅メモリー(HBM)などのDラムが、その計算に必要なデータを絶え間なく運ぶ。倉庫が遅ければ、働き手は手待ちになる。AI性能競争がメモリー性能競争へと広がった理由だ。
メモリー価格は、大口顧客と四半期または半期単位で結ぶ供給契約に従って動く。契約を更新するたびに上昇した市況が反映され、サーバー原価を継続的に押し上げる構造だ。
問題は供給だ。世界のDラム市場は、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社が寡占している。3社は生産を増やしているが、AI拡大に伴う需要増のペースの方が急だ。Dラム価格は昨年下半期から急騰基調を続けている。
HBMの特性も供給難を深める。HBMはDラムを複数層に積み重ねて作るため、同じ容量でも通常のDラムよりウエハーを何倍も使う。メモリー各社がHBM生産に設備を回せば、通常Dラムの供給まで減る構造だ。サーバーはもちろん、PCやスマートフォン向けメモリー価格まで一緒に上がる理由だ。
HBM市場では、SKハイニックスがエヌビディア向け主力供給者の座を守り、サムスン電子とマイクロンが追い上げてきた。通常Dラム価格まで上昇し、3社すべての収益が膨らむ局面だ。
力関係が逆転した
ブルームバーグは、エヌビディアの値上げ予告がメモリー企業の交渉力強化を示していると指摘した。メモリーは長らく景気次第で価格が大きく揺れる「弱い立場」と見なされてきた。今では完成品市場の最強企業が、メモリー価格を理由に顧客へ値上げ通知を送る側になった。
需要側に選択肢は多くない。マイクロソフト、グーグル、アマゾン、メタは自社AIチップを開発している。それでも大規模データセンターを建てるには、エヌビディアのチップが必要だ。エヌビディアがデータセンター向けに最適化したチップと開発エコシステムを一体化しており、乗り換えが難しいためだ。
値上げは、エヌビディアの利益防衛策でもある。メモリーの原価負担を自社が抱えれば、利益率が削られる。独占的地位を持つ企業は負担を顧客へ転嫁でき、実際にその力を行使したことが確認された形だ。
通知どおりに実施されるかは、今後見極める必要がある。顧客側も、自社チップ開発や調達先の多様化で対抗している。最終的な上昇幅は、交渉の過程で調整される可能性が残る。
自分のクラウド料金まで上がるのか
値上げ分は連鎖的に波及する。サーバー価格が上がれば、データセンターを建設するクラウド企業のコストが増える。クラウド料金が上がれば、その上で動くAIサービスの原価も上昇する。企業向け料金が先に動き、無料で使っていたサービスが有料化したり、利用料が上がったりする形で消費者に届く可能性がある。
体感はすでに始まっている。通常Dラム価格の上昇で、PCやスマートフォンの製造原価も上がっている。メモリーのスーパーサイクルが、データセンターを超えて日常機器の値札まで揺さぶる流れだ。
韓国経済にとっては、まず追い風だ。メモリーは韓国の輸出品目で1位であり、価格が上がればサムスン電子とSKハイニックスの利益が膨らむ。値上げしても売れる局面は、両社の業績に直結する。増設投資が続けば、素材・部品・装備業界にも受注が広がる。
PCの買い替えや大容量メモリーの購入を先送りしてきた消費者なら、価格の流れを注視する必要がある。業界では、供給不足がしばらく続き、来年まで上昇基調が続くとの見方が優勢だ。
韓国株式市場で半導体株が指数の流れを主導してきたことを踏まえると、完成品メーカーが値上げを受け入れるほど需要が堅調だというニュースは、業況持続のシグナルとして読めるとの分析もある。
ただし、サイクル警戒論もある。メモリー市場は、好況時の増設が2~3年後に供給過剰へ転じることを繰り返してきた。2018年の好況直後、2019年に価格が急落したのが代表例だ。今着工した工場の生産分が大量に出回る時期にAI需要が鈍れば、価格は逆方向に動く。
企業の対応も分かれる。クラウド利用企業は長期契約で料金を固定したり、購入時期を分散したりして値上げの衝撃を和らげられる。AIサービス企業は、キャッシュ機能などコスト削減技術で原価上昇を吸収する努力が不可欠になった。
メモリー起点の値上げは、AI産業の費用構造が変わりつつあることを示すサインだ。チップ性能競争の裏で、メモリー確保競争が勝負どころとして浮上している。値上げ分がどこまで転嫁されるのか、増設分がいつ市場にあふれるのかが、来年の半導体市場を読む2つの注目点になる。