SKグループの崔泰源会長は、急騰急落を繰り返すSKハイニックスの株価について「時間を置けば右肩上がりになる」と述べ、長期保有を勧めた。崔会長は17日、済州・西帰浦で開かれた大韓商工会議所の夏季フォーラムのAI対談で「売ったり買ったりせず、そのまま持っていればいい」と語った。
この発言は、SKハイニックスの株価をめぐる質問に答える中で出た。同行の株価は最近、連日大きく変動している。崔会長は「メモリー需要が増えているので、SKハイニックスとサムスン電子の株価が上がっている」とし、「メモリーは今後も継続して必要なため、時間を置けば右肩上がりになる」と答えた。
崔会長は相場の変動を過度に解釈しないよう線を引いた。彼は「株価は現象をそのまま反映しない」とし、「見通しが良くなれば上がり、少し違うと思えば急に落ちることもある」と述べた。「あまりに早く上がりすぎると、現実がそれに適応していくこともある」との見方も示した。
株価が業績や業況より先行することがある点を指摘したものだ。期待が先に価格へ織り込まれ、現実が後から追いつく局面では調整が避けられないという意味にも受け取れる。急騰急落そのものを異常なシグナルと見る必要はない、という趣旨でもある。
短期予測については明確に距離を置いた。彼は「来月の株価がどうなるかは、私にも分からない」と述べた。その一方で、方向性への確信は示した。来月を当てるのではなく、産業が向かう先を見よというメッセージだ。
グループトップが系列会社の株価について売買行動まで直接言及するのは珍しいとの評価もある。個人投資家の比率が高い銘柄の特性上、短期変動による市場の動揺を沈めようとする発言と解釈される。値上がり益を狙った頻繁な売買より保有戦略が望ましいという助言は、結局のところ判断基準を株価のチャートではなく需要曲線に置けという注文でもある。
長期楽観の根拠はメモリー需要だ。崔会長は「メモリー需要は飛躍的に増えるしかない」とし、「AIはまだ4歳の子どもだが、大人になるにはメモリーが使われるほかない」と語った。
メモリーはAIが動くうえで欠かせない部品だ。AIが答えを出すには膨大なデータを呼び出して計算する必要があり、そのデータを蓄えておく場所がメモリーである。AIサービスが増え、利用者が増えるほど、メモリー消費も増える構造だ。
「4歳の子ども」という比喩には、AI産業が初期段階にあるという認識が込められている。技術が成熟するまでにはまだ長い道のりがあり、学習と推論を繰り返す成長過程全体でデータを保存・処理するメモリーが消費されるということだ。完成された市場ではなく、これから本格的に拡大し始める市場だという見立てである。
需要と株価は常に同じ速度で動くわけではない。需要曲線が緩やかに上向いても、株価はその周辺を大きく上下する。崔会長の発言は、その二つの曲線を重ねて見ないようにという助言として整理できる。揺れているのは価格であって、需要ではないということだ。投資判断の基準をどこに置くべきかを改めて問いかける内容でもある。
サムスン電子にも言及した点も目を引く。特定企業の株価防衛ではなく、メモリー産業全体に向けた診断だということを示しているという解釈が出ている。景気の流れに応じて浮き沈みを経験してきたメモリー産業が、AIという構造的需要を得て性格を変えつつあるという分析とも重なる。
メモリー需要をさらに伸ばすには、AI産業自体が拡大しなければならない。崔会長がこの日の場で産業戦略を長く語った理由もここにあるとみられる。
対談で崔会長は、メモリー需要を押し上げるための韓国AI産業戦略も提示した。米中の覇権競争を迂回するニッチ市場の開拓が骨子だ。
トークンコストとは、AIが言語を処理する最小単位であるトークンごとにかかる費用を指す。このコストを中国水準まで下げるのも難しく、米国水準の性能に追いつくのも容易ではない、というのが崔会長の見立てだ。
彼は「米国はクオリティ重視で接近する一方、中国は価格優位を取る戦略だ」とし、「韓国はトークンコストを下げるのも難しく、クオリティで米国に勝つのも難しい」と分析した。そのうえで「インフラを整え、その上に私たちが必要とするアプリケーションを作り、隙間市場を作らなければならない」と強調した。
輸出戦略の転換も求めた。彼は「米国と中国の脅威が負担となる中立的な第三世界に、大規模言語モデル(LLM)であれアプリケーションであれ輸出できる状況を作るべきだ」とし、「将来は製品ではなく知能を輸出する戦略に変えるべきだ」と述べた。
知能輸出は、完成品を一つ売る方式とは異なる。言語モデルや応用サービス、それを動かす運用能力までをひっくるめて提供する概念に近い。米国の技術も中国の技術も受け入れにくい国々にとって、韓国製AIが政治的負担の少ない選択肢になり得る、という計算が背景にあるとみられる。
この構想は株価発言と一体のものだという見方も出ている。AI応用産業が拡大すれば、それを支えるメモリー消費も増える構造だからだ。人材像に関する発言も同じ文脈にある。崔会長は、思考・適応・共感の筋力と身体スキルをAI時代の競争力として挙げ、「大学を出なければ人材ではない時代は終わった」と述べた。
彼は「最近、SKハイニックスが採用時に大学卒業証書を必要としないと発表した」とし、学歴の看板より実力を見る採用への転換を根拠に挙げた。「起業が増えれば失敗も増え、そのときには回復力の高い人が必要になる」とも付け加えた。産業と人材が共に変わってこそ、AI成長が続くという認識と受け取れる。
もちろん、長期楽観が無リスクを意味するわけではない。崔会長自身が来月の株価は分からないと明言したように、短い期間では大きな調整がいつ起きてもおかしくない。結局、耐えられる投資期間と資金の範囲内で臨むべきだという前提が、この発言には込められている。
投資家に残る課題は、判断基準の転換だ。来月の株価を当てるゲームではなく、AIが4歳から大人へと成長する長い流れを見るべきだというのが、この日の発言を貫くメッセージである。その確信が市場でどれだけ早く検証されるかが、今後のメモリー業種全体に対する投資心理の流れを左右するとの見方も出ている。