サムスン李在鎔会長、3週連続会合リレー、狙いはファウンドリー【解説】
イ・ジェヨン三星電子会長の7月の動線は、3つの点でつながる。米国サンバレー、サンフランシスコ、そしてイタリア・シチリアだ。 李会長は今月末、シチリア南西部のロッコ・フォルテ・ヴェルドゥラ・ゴルフリゾートで開かれるグーグル・キャンプに参加するため、現地へ移動したと伝えられた。 これはグーグル共同創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが2013年のダボス会議で着想を得て作った集まりで、毎年7月末に政財界の要人が集まる。 参加者名簿や日程、議論内容は公開されない。李会長は2022年から3年連続で参加したが、昨年は対米通商交渉支援のためワシントンへ向かい、席を外した。今回の参加が実現すれば、2年ぶりの復帰となる。 直前の日程も尋常ではない。李会長は24~25日(現地時間)のサンフランシスコAIサミット期間中、鄭義宣(チョン・ウィソン)現代自動車グループ会長、イ・ヘジン・ネイバー理事会議長とともにエヌビディア本社を訪れ、ジェンスン・フアンCEOと会った。さらにOpenAI本社ではサム・アルトマンCEOらと役員級の会合を開いた。この期間、三星電子はブロードコムと5年間で2000億ドル規模のメモリー・ファウンドリー協力に合意した。 今月初めには、米国サンバレー会議にファウンドリー事業部長のハン・ジマン社長を伴って参加した。3週間で3つの非公開舞台を回る日程だ。 動線を読み解く鍵は同行者にある。サンバレーにファウンドリー事業部長を連れて行った事実が、このリレーの目的を物語る。 三星電子の事業地図で、いま最も切実なのはファウンドリーだ。メモリーは供給者優位の市場に入ったが、ファウンドリーは違う。 昨年第3四半期時点の世界シェアは、TSMCが71%、三星電子が6.8%で、差は依然として圧倒的だ。ただ、流れは変わりつつある。昨年、テスラのAIチップ受注で反転の足がかりを築き、今年に入って稼働率が80%を超えたという海外メディア報道も出た。2025年には一時50%を下回っていた数値だ。 この局面で総帥が自ら動く理由は、取引の性格にある。AIチップのファウンドリー契約は数兆ウォン規模の複数年契約であり、設計情報という極秘資産を委託先に託す決定だ。実務交渉から始められる取引ではない。 最高経営者同士の信頼が契約の前提条件となる。テスラ受注がイーロン・マスクとの長年の親交の上で成立したと解釈されるのも、同じ文脈だ。 ブロードコムとの合意は、その方式の効果を示した事例だ。現場を回ってつかんだ成果だという評価が財界で出ている。今回の合意により、三星電子はメモリーとファウンドリー、パッケージングを束ねて売る構造を、初めて大型契約に盛り込んだ。競合他社が真似しにくい総合半導体企業(IDM)の強みを、営業の武器に転換した形だ。 グーグル・キャンプは、この戦略の次のターゲットが集まる場だ。グーグルは自社AIチップTPUを、メタは自社推論チップを設計している。両社ともTSMCに受注が集中しており、TSMCの生産能力は事実上完売状態だ。 代替ファウンドリーを探す誘因は、これまでになく大きい。アップルもイメージセンサー協力に続き、2ナノ工程に関する照会を増やしているとの証券街分析も出ている。 総帥のネットワーキングの実効性をめぐっては評価が分かれる。 成果と見る側は契約書を根拠に挙げる。テスラ、ブロードコムへと続く大型受注が総帥会合の後に成立した以上、因果関係を否定するのは難しいという見方だ。非公開の社交の場は、公式の交渉テーブルでは出てこない情報や意向が交わされる空間であり、そのアクセス権自体が資産だという論理である。 警戒する側は、依存構造を指摘する。受注が総帥個人の関係網に左右されれば、組織の営業力は育たないというのだ。会合が契約につながる比率を外部から検証できない点も限界として挙げられる。グーグル・キャンプのように議題すら非公開の行事は、成果測定が本質的に不可能だ。 技術が先だという反論もある。ビッグテックがTSMCの代案を探す理由は、関係不足ではなく物量不足であり、結局は2ナノの歩留まりが受注を決めるという見方だ。歩留まりが60%台に入り、稼働率が回復したことが交渉のテーブルを作ったのであり、会合が作ったのではないという解釈である。 取引方式の変化は、今回の連続会合が送るシグナルだ。AI半導体産業の契約は、スポット取引から5年単位の長期同盟へ移っている。同盟の相手を選ぶ決定は取締役会とCEOの役割であり、その決定が下される場所は公聴会ではなくゴルフリゾートだ。 韓国企業トップの役割もそれに伴って変わっている。グループ内部の最終承認者から、グローバル供給網における対外交渉窓口へと重心が移った。李会長と崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長が同じ会場を相次いで訪れる光景が、その証拠だ。 受注競争の次の激戦地は2027年だ。テスラ向けチップの量産とテイラー工場の本格稼働、アップル・クアルコム向け物量の行方が、そのころ分かれる。今の会合は、その時点を見据えた先行投資に近い。 総帥の関係網が生んだ機会を、組織の実績へ変える装置が必要だ。会合は扉を開くだけで、契約はその後の体制が作る。 出発点は歩留まりだ。ブロードコムであれグーグルであれ、最終判断は試作品の検証で決まる。2ナノの歩留まりが60%台に入ったとの観測はあるが、TSMCとの差は残っている。 受注営業が先行し、量産能力が追いつかなければ、信頼は一気に崩れる。テイラー工場の初期歩留まり安定化に本社人材を先行配置し、顧客別の専任歩留まり組織を契約時点から付ける体制が、会合の成果を守る最低条件とされる。 その後に速度の問題が続く。総帥同士の合意が実務契約へ降りるには通常数カ月かかり、その間に競合が入り込む。メモリー・ファウンドリー・パッケージングを束ねるブロードコム型取引は、3つの事業部の利害が絡むため、社内調整がさらに遅い。顧客別に事業部を横断する専任組織を置き、会合後の一定期限内に実務交渉を始めるよう内部ルールを設ける案が業界で取り沙汰されている。 ...
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